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恋のハプニング?!(2)
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side 沖 護
多分これは、冷戦というやつ。
「…それじゃあ、ピザも届いた事だし…。乾杯しようか」
テーブルに並べられたピザやからあげやポテト、サラダなど様々な料理。
それを囲む様に座った俺たちの空気はなんだか、重苦しい。
むすっとしてる、俺と要目くん。
…それに、気まずそうに俯くゆうき。
俺たち3人の空気はまるで、御通夜。
「ほらほら、みんなグラスもって!取り敢えず、乾杯しよ?」
そんな状態なのに、松下ことまっつーは、鈍感なのかKYなのか、気にする素振りもないまま、何処かウキウキと楽しげだ。
(……なんか、空気重くるしーけど。俺は悪くないし)
何時もクールで無愛想な要目くんだけど、今は怖いくらいに無表情。
ドス黒い不機嫌なオーラ出まくり。
…白状するが、とてつも無く怖い。
人軽く殺気で殺せるんじゃないの?ってくらい、こっち見向きもしない癖にやたらと突き刺す様な殺気が滲み出てる。
(こんなに見繕ってない要目くん見たの始めてだよな。…でもさ、俺だってイライラしてんだからな!)
ゆうきのこと、好きなのはお前だけじゃねぇし。俺は、…手も出す事も出来ないお前とは違うんだ。
「…グラスもった?それじゃあ…乾杯ー!!」
皆渋々といった感じで、まっつーの掛け声と共に乾杯。まっつーは、料理を取ろうともしない俺らに、テキパキと料理を取り分ける。
席順の並びは、俺とまっつーが隣。ゆうきは俺の前でその横が要目くん。
ゆうきはすげー、オロオロしてる。本当は、さっきのハプニングで、俺を意識させる筈だったのに。…ゆうきが気にしてるのは、やっぱり要目くんだ。
口に唐揚げを頬張りながらも、チラチラと要目くんの様子を伺う、ゆうき。
要目くんは、無表情のまま、静かに食事をしていた。
(……嗚呼、凄くここがもやっとする)
手も出せないくせに…。
俺の邪魔をして、ゆうきの視線を俺から奪う。……凄く、卑怯だ。
ゆうき。
ねぇ、ゆうき。
要目くんばっか見てないでさ。俺もちゃんと見てよ。なんで、そいつなの?ねぇ。…ねぇ。
「護」
はっ、とした。
引き戻された此処は現実?
俺の黒くて醜い部分が、顔を出して居たことに気付く。
声の主の方へと視線を向けた。
「まっつー…」
彼は、にこり。と笑ってた。
綺麗に微笑む顔は、普段と全く変わらない。
俺が無意識の間に出して居たのは、嫉妬、だ。いや、そんな生易しいモノじゃない。
最も黒くて最も醜い。
「パスタ、取ろうか?」
緩く傾げ尋ねる君。
まっつーに、一瞬、見透かされたのかと思って仕舞う程、彼の言葉が俺を此処へと引っ張り出した。
(そんな、筈無い。のに)
なんだろう、この空気は。
…生温くて嫌な感じだ。
「大丈夫、だよ」
俺はへら、ッと笑って見せた。
ぞわぞわとした感覚に、腕を摩る。
寒いのだろうか。俺の腕には、鳥肌が立っていた。
彼の視線は、普段と変わらない。
俺に視線を向ける瞳は、穏やかだ。
「…そ?なら、イイんだけど」
彼は笑顔のまま、そう呟く。
変わらない、何時もの彼だ。
(なのに、……)
「心配為せないでよ?護」
やんわりとはにかむ彼は、俺の良く知る世話焼きで温厚な優しい友達の、まっつー。
なんだよな…?
「…、おう、さんきゅー!」
生温い空気が、増す。じわじわと、俺を蝕む。じんわりと、額には汗が滲んだ。
…けれど背には冷んやりとした嫌な冷や汗が伝う。
熱いのか寒いのか。
如何し様もなくて、俺は腕を何度も摩った。
頭が、鈍く痛む。
ぐわんぐわんと、音が鳴る。
彼の笑顔にほっとする内心の俺。
だけど、身体は其れを拒絶する様だ。
何考えてんだよ。俺。
まっつーは親友じゃんか。有り得ない、俺の行き過ぎた、タダの妄想だ。
そうだ。
…そうな、筈なんだよ。
そうじゃなきゃ、…困るんだ。
なのに。
なんでだ、…如何してだよ、?
(……それなのに、なンでこんなにも鳥肌が収まらないんだ)
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