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俺の親友はバカです
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sideフジ
「ふあ……」
午後は何かと眠い。
自然と漏れる欠伸を小さく噛み殺す。
古典の授業はホント面倒、退屈、暇。
……なんでこんなにじーちゃんが多いかな、この学校は。
古典の教師もこれまたじーちゃん先生。
それもこの学校の一番の年長者らしい。
ぷるぷると小刻みに揺れる身体で、今にも倒れても可笑しくはないように見える。
おいおい。
たぬきじーちゃん先生。大丈夫かよ。
ちなみに、何故たぬきかというと、名前が杜川狸吉(もりかわ たぬきち)だから。
「………え?……であるから、ここの………活用は、え?…………変格……え?………」
おいおいおい。
ホント大丈夫かよ、じーちゃん。
こんなゆったりとした口調で授業をやられちゃ、誰一人として起きてはいられないだろ。
クラスの大半は、机に這いつくばって寝こけている。
ちなみに、俺の前の席に座っているダチ、波嶌 夕柝(なみしま ゆうき)は言わずともそのうちの一人である。
教科書を開きっぱなしにし、うつ伏せで寝ている。
時折、ピクピクと動く右足は何やら夢でも見ている様子だ。
良く寝るなこいつはホント。
昨日も夜遅くまでどうせエ○ゲーでもやってたんだろーけど。
頬杖を付いては、ぼおっとゆうきを眺める。
…うなじしっっろ。つーか首細すぎ。折れそう。俺もまあ、日焼けしないけど。こいつ程じゃない。家ダイスキだからな、こいつ。
そんな風にゆうきの観察をしていると、いきなりゆうきがガタっと身体をびくつかせた。
!?
え、何?
……起きたのかい、ゆーきくん。
そんなに大きな音たてるなよ?
また朝みたいに説教されるぞ??
寝るのはまだいい。
しかし、寝惚けて何かやらかすのではと心底心配だ。
そんな俺の心の忠告も空しく、ゆーきくんは(またも)やってくれた。
ガタガタっと席を立つ。
それもまあ、本当に騒がしく。
そして終いにはこの一言。
「…や、ヤバイって…。これ以上、薄くなったら終わりじゃん」
いや、ヤバイのはお前だろ。
お前の言う通り終わりそうだよホント。
バカだバカだとは思ってたけど、ここまで馬鹿だったとはね!いやいや、参った参った。
クラスの連中は寝起きだったので、ぱちぱちと心底驚いた様子でゆうきを見詰める。
たぬきじーちゃん先生もこれまた見たこともないくらい目を真ん丸くして驚いている。そりゃそーだ、どんな夢見てたんだよ。
「あれ…?髪の毛がある…」
こちらのお馬鹿様も未だに夢心地でいらっしゃるようで、不思議そうに首を傾げている。
ハゲる夢でもみたのかい、ゆーきくんよ。
しかも、視線の先にはたぬきじーちゃん先生…。
あれ、なんか嫌な予感がするナ。俺の嫌な予感て当たるからナ。
…………ホラみろ。なんだか、何時も以上にプルプルしてんぞ、じーちゃん。どうすんだよ。
じーちゃんは、小刻みに身体を揺らして…と言うより、怒りに震えるようだ。そして顔をこれでもかとばかりに真っ赤にしている。
たぬきじーちゃんの地雷は髪の毛だったらしい。白い髪の毛はほわほわと薄く頼りない。気にしてたんだよ、きっと。無神経だな、あんまり年寄り怒らすなよ。
理解したクラスの連中は、ぎゃはははっと腹を抱え、仰け反り大笑い。
これがじーちゃんに油を注ぎまくっている。
そして、ゆうきはまだ理解出来ていないのかボケーっと阿呆面で立ち尽くしていた。
じーちゃんの怒りが爆発するまで、後2分。ゆうきがこの状況を理解し、恐怖と絶望で顔を真っ青にするまでそう時間はかからなかった。
………おバカな親友がとても心配です。
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