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幼い頃の記憶
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俺は昔、自分には兄ちゃんがいるって思ってた。
何時も俺と遊んでくれる、優しい兄ちゃん。会わない日なんて数える程しかない様な。そんな、何時も側にいるのが当たり前で何時も一緒だった、大切な人。
「尚兄ちゃんはな、遠くへ行くんだ」
俺が小学2年生のとき、今でも覚えてる。二人で公園で遊んでいた時だった。
兄ちゃんは真剣な顔で言うんだ。
「なんで?どうして??尚兄ちゃんは、遠くへ行くの?」
兄ちゃんは少し悲しそうに、そして仕方ないんだと呟く。
「父さんと母さんが、他人になるから。二人はもう、元には戻れないから」
その言葉の意味は俺には分からなかった。
兄ちゃんはお母さんの方の実家に言ったと、後で母から聞いた。
「…………っ。なんで…?どうして?ヤダよぉ…、ヤダ…ぁ」
散々ぐすり、しまいには泣き出す俺を、きっと兄ちゃんは困り果てていただろう。
なにより、大切な人が俺から離れてしまうことが本当にやだった。
これからも、ずっとずっと一緒なんだって思ってたから。
日が暮れる夕方。
泣き疲れた俺を背におぶる兄ちゃんの横顔………どんなンだっけ?
*
「こっ酷く絞られたのか?」
物思いに耽っていると、フジに声をかけられた。俺が落ち込んでいると思ったか!クソが!…けどさ、俺今そんなこと言える気分じゃないンだよね。
「…うん。」
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