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警戒心なさすぎ
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side フジ
ぷっくり、薄桃色の唇。
柔らかくて温かい。
『ゆーき、おい。口にソースついてるバカ』
…馬鹿は俺だろ。
死ぬの?なんなの…?
ちゃっかり?つか、しっかりナニ欲情しちゃってんの?ナニ手なんて出しちゃってんの?
触れた親指、じんじん、痛いくらいに熱を帯びてる。
……我慢なんて、出来なかった。
何時もなら冷静にその感情を、抑えられるのに。…如何しても、止められなかった。『触れたい』って、欲望。
はは、なんだよ。俺もそこらのオトコと一緒ってわけだ。自分の感情くらい、コントロール出来るって思ってたのに。今までだって、そうだ。鈍いあいつの隣で、この欲をコントロールしてきたんだよ。…何時からこんな我慢の効かないオトコになったワケ?俺。
(…つーか、あの顔はヤバイでしょ…)
スゲーきた。
本当にヤバかった。何時もみたいにさ、怒れよ。…焦って顔真っ赤になんて、するなよ。
『もしかして、俺のこと意識してんの?』っておもっちゃうじゃん?勘違いしちゃうだろ?
そんな反応されるとさ、本気で手が出てしまいそうに、なる。…他のヤツがさ、おまえのその顔見たらどうなると思ってんの?いい加減、気付けよ。注意すれよ。…俺みたいなさ、『間違いや勘違い』起こしたらどーする気?……なにが言いたいかっていいますと、お願いだから、煽るなよってコトです。
(……いやいやいや。ゆーきくんが、そんなコト。わかるわけないじゃん)
そうだよ。あの、おバカなゆーきくんだよ?俺が、フォローしなきゃでしょ?……そんな立場な癖にさ。俺が煽られちゃってどやすんのさ。しっかり、しろよ。何やってんだよ、俺。
…なんて言うかよ、バーカ。そんな簡単にいったら苦労なんかするか馬鹿野郎。あー、そうだよ。俺もオトコなんですよ。欲情だって、煽られたりだってしますよそりゃあ。
何年我慢してきたと思ってんの?
俺だけが悪いワケじゃないでしょ??
つか、あのゆーきくんに遠慮なんかしてらんない。告白?の返事貰ってないし、オッケーもして貰ってないけどさ。そんなの、知ったこっちゃないし?…もうそろそろ、グイグイ俺のペースに持ってても良いよね。
だってさ、油断なんて出来ないじゃん。
「えっ?!波嶋、アイドルマ○ター持ってんの???やっべー!!俺もやりたい!今度やらしてよ!」
「…ば、ばかっ!声でけーよ…!つか、お前もやるのかよ、沖。……別にいいけど?」
「やった!!!んじゃあ、波嶋んち!いくわ!!ね?!いいっしょ??」
「…はー?……仕方ねぇな…。その代わりっ!トキメキメ○リアル持ってこいよ?」
「おけ?!やっり!!あんがとー!波嶋っ」
「っ!?!やめ、っきも!!離れろ、バカ沖…っ!」
……は?
ナニいちゃついてんの。
なんなの…?
この状況を説明すると、あの後、俺たちはレストランを出てそのままファミレスへ直行。まぁ、駄べるためにだが。……しかし駄べってるのは主にゆうきと沖、二人だけ。
しかも沖がゆうきと隣になりたいと言い出し、ゆうきの隣は俺でなく沖。…別にいいけどさ。ゆうきの前は俺、そのとなりは松野クン。
…二人だけで同じ趣味で盛り上がっちゃってさ。また、あのエ○ゲーかよ。飽きないね、ゆーきくん。……つーか、ナニ触らせてんの??バカなの?うん、知ってる。つか、バカ沖くんもナニちゃっかり抱きついてんの??死ぬの?死ぬよね?…うん、死のっか?
穴が空く程、二人を睨みつける。
…沖って犬みたい。
コロコロコロコロ、懐きやがって。
それからさ、ゆーきくんはナニ?照れ隠し??隠してるつもりなのかな?ん?けどさ、スゲー隠れてないんだけど??…スゲーツンツンのデレ?相手喜ばせてどーすんの?やめてくれない??スゲー嫌にムカつく。
イライライライラ。
腹立つ。俺がさ、フォローしようとさ、必死にさ、考えてんのに。
隙が、ない。
…ホントに二人の世界。
なんだよ、ナニ仲良くなっちゃってんだよ。
…肩に腕なんて、回させるな。
簡単に頬なんて赤くするな。
……家になんて、簡単にいれるなよ。
本当は、嫌じゃないくせして。
ワザとそんな顔して。
……沖はそんなお前なんてお見通し。
一層、嬉しそうにはしゃいでる。
……馬鹿馬鹿。鈍感、ムカつく、天然。
俺に気づけ。俺の方みて、話しを振れ馬鹿者。つまんねーんだけど?お前が奢れって言うからさ。来たのに。なんで、俺のこと放置して、沖とナカヨシしてんの?ワケわからんデス。
ここまでくるとさ、笑えないから。
俺、お前が思ってるほどココロ、広くないんだよ?知ってた…?
「…やっぱさ、猫耳メイドのツインテール!!ゆきりんだよねー!」
沖のバカが、ヘラヘラ笑う。
「んー…。俺はやっぱり、ポニーテールのタレ耳ワンちゃんのあおいちゃんかなー…。今はやっぱ清楚!か弱い美少女が魅力的なんだと思うのよねー」
すっかり打ち解けたバカゆーきくんが熱弁。ドヤ顔。勉強しない癖に変なゲームの知識だけは、ある。二人の距離は、近い。…触れる肩、見詰める沖の視線が、なんだか熱を感じる。………腸が煮え繰り返えそうなほど、気分が悪い。
(……警戒心、無さすぎ)
ため息、出そうになるのを我慢。
その代わりに、空気を吸い込む。
この感情は、知ってる。
痛いくらい、十分に。
その時、隣でぷっと小さな笑い声が聞こえた。俺の身体はびくりと、揺れる。心臓は飛び出すかと思った。
ちらりと、視線だけ横に向ける。
その視線の先には松野がいた。
彼は小さな含み笑いを浮かべていた。
その表情から、直ぐに俺の事を笑ったのだど、分かった。
「……ごめん、俺、変な顔でもしてたかな」
にこりと愛想笑いを浮かべてみる。
そんな嘘なんてきっと役になんて、立たない。だって、バレているから。
案の定、松野はそれを見越して、ああっと小さく声を漏らす。すっと切れ長の目元が、円を描く。直ぐに、笑みが深まったと気が付く。まるで、嘲笑うかのような口元が弧を描く。それが嫌に目に付き、少しだけ不気味だ。
「顔に、出てる。君は完璧に出してないつもりだけど。…その張り付いたような無表情、やめた方がいい」
まるで、『隠しています』って言ってるみたい。と、笑う。
……あんたの、その薄ら笑いのほうが気味が悪いと思うけど?
だけど、顔に出てるなんて言われたことがない。見透かされたって事実が、無性に俺の苛立ちを、掻き立てる。……ムカつく。腹が立つ。何でもお見通しだとでもいいたいのか?少し、俺の表情が読めたからって、付け上がるなよ。
「そんな怖い顔、しないでよ。気分を悪くしたなら謝るから」
笑う顔は、どこか胡散臭い。
それがより一層、気分を害する。
じろっとキツく睨んでも、松野は表情を変えなかった。
めんどくせえ。
この手のタイプは何言っても話になんて、ならないんだよな。
(……つーか、ナンダロ。嫌な予感がしてきたカモ)
この手の嫌なタイプの人間に好かれやすいんだよな、俺。
その後その予感が当たり、俺がこれからどんな苦労をするのかを知るのは、そんなに時間は掛からなかった。
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