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ゴホンッ。
と、わざとらしく咳払いをし、
「あ~、ゆうと君。カットラインはハサミではなく肘で決まる。という言葉を聞いたことはありますか?それくらいカットにおける姿勢、とりわけ肘というのは重要な役割を担うのです」
と、すっげーばつの悪そうな顔をしながらタカさんは解説する。
「はい」
いくら、プライベートでは恋人同士とはいえここは職場で、しかもレッスンのアドバイスを受けている以上、公私混同はもってのほか、真面目にタカさんの言葉を心にとめる。
「てか、ゆうとそんな腰ヤバいの?」
「・・・じじくさいから、あんま言いたくなかったんすけど、最近シャンプーにも結構入ってたから・・・かなりキテます」
なにやら多少は良心の呵責を感じているらしいタカさんが、複雑な表情で俺を見つめている。
「えっと・・・タカさん、動画ありがとうございました。お蔭でダメなとこがわかりました。あとは俺、自分で姿勢確認して今日は帰るんで、タカさんももう先帰ってもらって大丈夫ですよ?そこまで付き合ってもらうのも悪いし・・・」
「いや、思えば確かにゆうとの癖は直ってたんだよ。腰が痛くなる前までは・・・
ってことは、姿勢を確認しなくても、腰痛が解消されるようにすれば大丈夫なんじゃね?」
・・・確かに、そうかもしれない。
けど、整骨院は夜遅くまで開いてないし、かといってマッサージになんか通ったら、ただでさえ薄給の身の上だ。
生活出来なくなる。
「あ~、まぁそうかもっすけど・・・」
俺の言葉を遮り、タカさんがなぜか熱っぽく話し出す。
「あ!良いこと思いついた!!俺が今からマッサージしてやるよ~♪ど・こ・で・し・よ・う・か・な~・・・あ!そーいやスパルームに完全フラットになる椅子あったろ?あ~、なんか名前忘れたけど高かったやつ。あれでやろ~ぜ~」
「や、いや、今からじゃ時間も遅いし・・・ってタカさぁ~ん・・・っ」
俺の言葉も聞かず、タカさんがスタスタとスパルームの方へ歩き出す。
「あ、マッサージ終わったらすぐ帰れるように道具片しとけよ~」
がさごそと、タカさんはセッティングを始めたようだ。
まぁ、実際に腰が痛い俺としてはタダでマッサージしてくれるなんていう申し出は有難いことこの上ないのだが・・・。
「・・・問題はマッサージだけで済むかだな」
過去、タカさんにマッサージをだしに襲われた記憶が脳裏に過る・・・。
まぁ、ここは仮にも職場。
いくらタカさんでもそうそうバカな真似はしないだろう。
諦めの早い俺は頭を切り替え、タカさんを待たせないように、道具を手早く片付けた。
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