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「おっはよ~ございますっ!よしさん、鍵、鍵~!!」
朝の準備を済ませ、コンビニで軽い朝食を買ってお店に行くと、あきこさんが元気良くお店の前で待っていた。
昨夜、良人さんがお店の鍵を持って帰っていたから中に入れず外で待っていたらしい。
「あぁおはよ。あきこ、すまん、鍵~」
良人さんは、緩慢な動きでバックから鍵を取りだしあきこさんに手渡す。
「ふぃ~・・・あっつぅ~・・・二人共、ちょっと待ってて下さいね~?」
お店の中に足を踏み入れると真っ暗で、外気によって蒸され、暑く少し息苦しいくらいだった。
あきこさんはお店に入るなり急いでどこかへ消える・・・すると、パチパチと音が聞こえ照明の電気が点いた。
ウィーンと、モーターがうねるような機械音もする・・・クーラーをつけたのだろう。
そして、いつものようにBGMの落ち着いたお洒落な音楽が流れてきた。
「さて、と・・・とりあえず朝飯食べちゃいましょうか。食べ終わる頃にはちょっとはクーラー効いてくるだろうから、衣装に着替えてもらってメイクして・・・あ!よしさん、頭はこのまんま?シャンプーブローして行きます?」
「う~・・・ん・・・」
裏から戻ってきて、てきぱきとこれからの段取りを確認していくあきこさん・・・それに対し、コンビニで買った甘い菓子パンを頬張り、まだぼ~っとしている良人さん・・・。
「あ、駄目だこりゃ・・・マサト君、ごめんね~?よしさん、本っっっ当に朝弱くって・・・大丈夫よ?朝ご飯食べて糖分が頭に行けば通常運転に戻るから!とりあえず、ご飯、ご飯~・・・」
あきこさんは、今の良人さんに段取りを確認するのを諦め、鞄から取りだしたサンドイッチを食べ出した。
朝から作ってきたのだろう、程よくトーストされた食パンにトマトやきゅうりやハムがバランス良く挟まれてとても美味しそうだ。
俺も、良人さんに買ってもらったおにぎりを食べることにした。
コンビニで、自分の分は自分で支払うと言ったのだが、
『モデルさんに、お金を支払わせるとか出来ません~』
って言って結局奢ってもらうことになった。
そしてあきこさんの言う通り、朝ご飯を食べ終えた良人さんは、いつもの良人さんに戻っていた。
「あきこ、マサト君はシャンプーブローして会場連れてく。俺がやるから、あきこはブロー終わったらすぐ着替えれるよう衣装とメイクの準備して?」
「はぁい!了解でっす!!」
「マサト君、シャンプー台に行くよ~」
「あ、はいっ」
すっかり元の調子に戻った良人さんの後をついて、シャンプー台へ行く。
「あはっ、そ~いや、マサト君をシャンプーするの初めてだね?」
「はい」
「あきこの方が、数こなしてるからね~。多少ぎこちなくても、我慢してね?」
・・・そんなことを言いながらも、良人さんのシャンプーは気持ち良かった。
シャンプーが終わるとすぐ近くの席に座らせられ、ドライヤーで乾かされる。
いつもとは違い、ブラシを使って表面のところに艶を出された。
「あきこ先生~!あとよろしく~」
ブローが終わると、俺はあきこさんの指示に従い衣装に着替える。
そして・・・人生で初めてのメイクを施された。
眉をカットされ、形を整えられる。
そこから化粧水に始まり、ファンデーションのお粉まで・・・。
出来上がった自分の顔は、毛穴ひとつないツルッツルのお肌・・・。
確かに、アイラインを描くでもアイシャドウやらチークやらのせてガチャガチャされるわけでもなく、良人さんの言う通り変なことにはなってないのだが・・・。
「マサト君、ど~よ?イケメンじゃない?」
あきこさんが、出来栄えに満足しているのだろう・・・得意げに俺に感想を聞いてくる。
「・・・はぁ」
けれど俺は、鏡の中の見慣れない自分になんと言って良いかわからず、間の抜けた返事しか出来ない。
「あきこ~、終わった?おぉ!マサト君、イケメン、イケメン!!さて・・・ほいじゃ、会場に行きますか!!」
使ったシャンプー台やセット面の片付けをし、のんびりと少し離れた所でコーヒーを飲んでいた良人さんが近づいて言った。
それにあきこさんが頷き、二人は大会へ持っていく道具の確認を始めた。
荷物を少なくしたいってのと、盗難なんかの危険に備えて俺の手荷物は全てお店に置いていくことになった。
交通費も、向こうでの飲食代も、良人さんが支払うと言うので、財布も置いていく。
あまりに至れり尽くせりな状況に、申し訳ない顔をしていたら、
『モデルさんなんだから、気にしないで?カットさせてもらう当然の対価だよ?』
って言われて・・・まだ多少、いやかなり申し訳ない気持ちが強いんだけど、俺がここで我が儘を言って困らせる方が迷惑だと思い良人さんに素直に従うことにした。
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