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あの後、良人さんとあきこさんにカラーをしてもらい、黒髪に戻してもらった。
ベースを明るくしてしまっていたから、またしばらくしたら色が抜けて明るくなるかもしれないらしい。
・・・その時は、またカラーをして黒髪にしてくれるそうだ。
鏡の中に写る自分の髪・・・やっぱり自然の色じゃないから、どうしても違和感がある。
友人には勿論バレるだろうが、これでは親や下手をすると学校の先生にも髪を染めたのがバレるかも知れない。
けど、どうでも良かった。
ずっと、考えていたこと。
『マサト君は、美容師になりたいの?』
今なら、良人さんのその言葉に胸を張って答えられる。
『はい。俺、美容師になります』
良人さんに、あきこさんに、美容師を目指すことを伝えた。
良人さんは優しい笑顔で、
『後悔のないように、頑張って』
と言ってくれ、あきこさんには
『頭良いのに、勿体無い!!勢いだけで決めちゃ駄目よ!!!一週間、良く考えなさい!!!』
って、言われてしまった。
まぁ、大会の直後だったし、勢いだけで決めたと言われても仕方がないかもしれない
・・・でも、俺はずっと良人さん達の仕事を見てきた。
モデルをしたことで、表面的なとこだけじゃなく、より深く美容師の仕事を身近に感じ、見ることが出来たと思う。
確かに、見た目ほど華やかな仕事じゃないし、キツいことも色々あるだろう。
地味な努力をコツコツやり続けなければいけないし、接客だって、ストレスが溜まることも多いと思う。
でも、俺は・・・それでも美容師になりたいと思った。
今日のことは、最後のきっかけに過ぎない。
ずっと、良人さんに・・・美容師の仕事に憧れて、でもそれを生涯の仕事とすることに迷って・・・迷って、決断するための最後の後押し・・・。
まだ、親には言っていない。
馬鹿正直に“美容師になりたい”と言った所で、反対しかされないのは目に見えている。
まずは資料探し・・・自分の我が儘で進路を変えるのだ、親の援助を受けられる保証はない・・・むしろ援助などないと考えるのが妥当だろう。
奨学金がある学校を探した。
そして、志望校に入れないから逃げて他の道に行くのだと言わせない為にも、今まで以上に勉強に励む。
俺は、美容師になるべく着々と準備を進めた。
それは、とても楽しい・・・今までとは違う日々。
世界はキラキラと希望に満ち、退屈なんて存在しない充実を俺にくれた。
・・・満たされている。
心が満たされ、胸が躍る。
将来に希望を、志を持てると言うことが、こんなにも日々にハリを与え幸福な充足感をもたらすものだと、俺は知らなかった。
ただ勉強するのにも、これが自分の未来の為だと思うと信じられないくらいに集中し、成果を挙げることが出来た。
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