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「てか、男同士・・・ですよ?俺と良人さんが・・・って・・・あり得なくないっすか?」
店員が遠くに離れたのを確認してから、俺は話を続ける。
「え?ん~・・・まぁ、でもこの業界ゲイやらバイやら結構いるし?よしさん、明らかにマサト君のこと溺愛・・・ってか可愛がってたじゃない?それに普通いくら一度モデルを引き受けてくれた相手とはいえ、恋人でもないのに血の繋がりもない他人と一緒に暮らすとか・・・ねえ?」
「いや、まじでそんなんじゃないっす・・・てか、俺めっちゃ女遊びしてたの知ってるじゃないっすか!!」
「あ~・・・あれ、付き合ってるって周りに悟られないようカモフラージュしてんのかと思ってた。あはは~なんだ!!本当に違うんだぁ~・・・てっきり私は家で夜な夜な触りっこやら抜き合いでもしてんのかと思ったわよ」
あきこさんが、恥じらいもなくニヤニヤと薄ら笑いを浮かべ、指で円を象り上下に動かす。
「あきこさん、はしたない・・・てか、男同士ならそれくらい普通なんじゃないんすか?」
俺の言葉に、あきこさんはピタッと動きを止め表情をなくす。
「・・・は?」
そして今度はわなわなと体を震わせ大きな声を出した。
「はあ~~~?え、え・・・えぇ?てか、え・・・待って待って待って~!!!うそよね?なにそれ!!なんなのそれ!!!」
「ちょっ、あきこさん声!!大きすぎるからっ!!」
慌ててあきこさんの口を押さえるものの、響き渡った声は店内に轟き・・・店員さんに静かにするよう注意された。
それに平謝りし、やっと少し落ち着きを取り戻したあきこさんが話し出す。
「いや、まじで抜きっこしてたの?」
「・・・はい」
真剣な顔で深刻そうに身を乗り出して聞いてくるあきこさんに、俺は嘘がつけず正直に肯定してしまう。
「えっと、それで具体的には・・・?」
「黙秘権って、使えます?それとも生々しい話、聞きたいです?」
「あぁ~・・・なんでもないっ!!てか、なんでマサト君は抜きっこを男同士でするのが普通だと思ってるわけ?」
「良人さんが、男同士ならこれくらい普通だよって・・・変なことじゃないよって言って・・・だから俺、今までそうだと思ってたんすけど、もしかして・・・もしかしなくても、これって普通じゃないです・・・?」
ヤバい・・・一体自分は、今更こんなことを昔の先輩に話して何をやってるんだろうと、恥ずかしさで顔が熱くなる。
「わぁ~マサト君ゆでダコみたいに真っ赤だね~・・・てかね、普通は男同士でそんなことしません。私、兄貴が二人いるんだけど、普通は勃起した野郎のチンコなんか見たら気色悪くて萎えちゃうらしーわよ?」
「いや、そう言われても・・・」
いよいよ恥ずかしさで顔を真っ赤にし、あきこさんの顔をまともに見ることすら出来なくなる。
「でも、付き合ってはないのよね?」
「はいっ・・・それだけは、完全、完璧に胸を張って付き合ってないと、天地神明に誓って言えます!!」
「いや・・・そこまで大袈裟に言わなくてもちゃんと信じますよ」
そこまで話してしばし互いに沈黙し、お酒を飲む。
運ばれてきた食べ物にも一応箸をつけるものの・・・味も良くわからず上手く喉を通らなかった。
「いや、てか・・・はぁ~・・・なんか凄い話聞いちゃったわ~・・・どっと疲れちゃった」
「なんか・・・うぅ、本当にすみません」
「あ!!なんか今のむか~しのマサト君の話し方みたいで可愛い~」
つんつんと、未だにあきこさんの顔を見れない俺の頬を指でつつかれる。
「あきこさん、お願い・・・これ以上俺をいじめないで・・・っ」
「ま、昔の話なんでしょ?今更誰にもこんな話しないから、それだけは安心して?それにしても・・・もしかして、よしさんってばマサト君のこと好きだったんじゃない?」
「いや・・・そんなこと、ないでしょ」
前にこちらから求めた時に、良人さんから拒絶されてるし・・・なんて言えるわけなくて心の中だけで呟く。
「いやいやまじで・・・てか、あ~・・・だからかなぁ・・・マサト君の女遊びが酷かった時期、それはもう・・・よしさん荒れに荒れてたのよ?」
「・・・は?別に・・・普通だったじゃないすか」
思い返しても、その時期の良人さんが荒れていたなんて記憶は全くない。
一緒に暮らしてたのだから、もし本当に良人さんが荒れていたというのなら、その変化に気付きそうなものなんだが・・・。
「バァカ!!お店の奴等も気付いてないのいっぱいいたけど・・・当時アシスタントとしてくっついてた私はびしびしよしさんの荒れた空気を感じてましたよ・・・思い出したくもない、毎日、毎日ピリピリピリピリ・・・仕事終わったら終わったでヤケ酒に付き合わされて・・・はぁ・・・本っっっ当に酷かったんだからっ!!!」
・・・うそは、ついてないと思う。
てかあきこさんがこう言うんだから当時良人さんは本当に荒れていたんだろう・・・俺が気付いていなかっただけで・・・。
「て~かぁ、マサト君はよしさんのことどぉ思ってんのぉ~?あ、もう過去?どう思ってたの?ってのがぁ~・・・正解?」
「あ~あ~あ~・・・あきこさん、もう酔っ払ったんすか?明日も仕事でしょ?もう今日は帰りましょ?ね?駅まで送りますし・・・」
呂律が回らず目が座ってきたあきこさんにこれ以上お酒を飲ませるわけにはいかないと、グラスを奪う・・・酔っ払うと人に絡み出すあきこさんが本格的に酔い潰れてしまうのは大変面倒だ・・・。
店員さんに熱いお茶を貰い、嫌がるあきこさんに飲ませた。
そうしている間にもどんどん俺に絡んでくるあきこさんになんとかお会計をしてもらい、お店を出る。
約束どおり駅まで送り、あきこさんと別れた。
・・・あきこさんの言葉が、良人さんとの行為に溺れていた過去が、何度も何度も頭に浮かび、俺の心をもてあそび翻弄する。
そっと、そのどろどろと渦巻く・・・自分では制御の出来ない、よくわからない感情に蓋をして、考えないようにして・・・その日は睡眠薬を飲んで寝た。
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