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「タカ、タカ・・・起きなよ。ねぇ、タカ・・・」
真琴は俺から離れると薬で意識を失っているタカさんの名前を優しく呼び掛けながら、揺さぶり起こそうとする。
ピク・・・と、微かにタカさんの体が反応した。
「ゆ、うと・・・」
「タカさん、タカさんっ!!」
まだ自由の効かない体で、それでもなんとかタカさんのもとへ行こうと足掻く俺に真琴が冷たい言葉を掛ける。
「ねぇ、淫乱君・・・早く服着てくれないかな?君の裸はもう見飽きたよ」
そしてタカさんの髪を指で玩び笑いながら更に言葉を続ける。
「タカ・・・あの子とんだ淫乱だよね?随分と一生懸命喘いでたよ。」
「てめ・・・ゆ、うとに・・・なにを・・・」
「タカ、その様子じゃ意識ははっきりしてそうだけど、体がいうことを効かない?ふふふ・・・良い状態だね。彼、ゆうと君・・・だっけ、タカが本当に好きなんだって、でもさ人間ってのは本人同士がいくら好きあってたってどうにもならない事もある・・・そう思わない?」
俺とタカさんは何も言えず、ただ真琴の言葉を聞く・・・なんて答えればいいのか・・・わからなかった。
「例えば将来、結婚は?子供はいらないの?男同士なんて、当然世間に冷たい目で見られるだろうし、こそこそとまるで犯罪でも犯しているかのように人様に隠れて付き合わなけりゃいけない。偏見、差別・・・そういったものを乗り越えられる自信はあるの?そして何より・・・親に言える?自分達が『男同士で付き合ってます』って、言えるの?」
タカさんを見ると不安そうな・・・今にも泣き出すんじゃないかってくらい辛そうな顔で俯いている。
「言える」
そんなタカさんを見たら考えるより先に言葉が口から溢れた。
「言える・・・俺は真剣にタカさんと付き合ってる。だから誰にも何も恥じることはないし、もしかしたら・・・認めてもらえないかも知んないけど、でも、それでも俺はタカさんを愛していて一生をこの人と共にありたいって思ってる。親にも言える・・・ 世界中の誰にも、俺は恥じることなく胸張ってタカさんを愛していて、ずっとずっと一緒にいるって言える!!!」
真琴は変わらずタカさんの髪を玩び、俺を冷めた目で見ている。
「どうでも良いよ・・・俺には関係ない」
そう言うなり寝室の方へと向かう真琴に、俺もタカさんもどうしようもなく、ただその動きを目で追った。
「じゃあ早速だから、二人共・・・あぁ、タカは何も言わなかったけど、とにかく親に今の台詞をもう一度言ってごらん?」
キィ・・・っと、いやな音を立て真琴がゆっくりと中途半端に開けられたままになっていた寝室の扉を開け放つ・・・。
ドクドクと、心臓がその鼓動を一気に加速させる。
胸に過るいやな予感に、あんなに火照り熱くなっていた体も頭も冷え背中には汗が流れる・・・。
まさか、まさか、まさか・・・いくら否定しても、目の前に写る光景は残酷な現実をただなんの感情もなく突き付けるだけだ。
「父さん・・・かあ、さん・・・」
俺の声にニヤリと、真琴はその美しい顔を歪め笑った。
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