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「………本日を以て、ゆうとをアシスタントからスタイリストに任命します。おめでとう、これからも精進して技術向上・集客に励むように」
………最初、俺は店長の言葉が頭に入ってこなかった。
「ゆうと、お前なんでそんな間抜けな顔してんの」
そう言って笑うマサトの言葉に、
「あ、うん………」
と、気の抜けた返事しか返せない。
「お疲れちゃん………ゆうと、おめでと」
タカさんにそう言われ、頭を思いっきりくしゃくしゃに撫で回され、抗議の声をあげる。
「わ、わあっ!ちょっ………タカさんっ!」
「あははは、ゆうと髪ぐちゃぐちゃー」
「お前ら本当に仲良いなー」
そうして皆で笑って………俺はやっと、自分がスタイリストチェックに合格出来た事を理解する。
頭でその事実を理解しても、酷く気持ちが浮わついていて、自分がスタイリストになったという実感が全くわかない。
「お~い、な~んかまだ自分がスタイリストになったって実感がわかない~って顔してるけど、大丈夫か?」
あまりに的確に店長に心を見透かされて、ドキッとした。
「だ、大丈夫です」
本当は大丈夫かどうかなんてわからないけど、強がって気丈な振りをする。
「なら良いや。えーっと、これからの事だけど、自分の管理してるモデルと指名客は休み明け、火曜日から営業中入客オッケーで、来月頭からは正式にスタイリストとしてフリーと新規客バンバン割り振るから気合い入れて稼いで下さ~い」
店長にこれからの具体的な流れを確認され、今更ながらやっと自分がスタイリストになったんだっていう実感が、ほんの少しだけわいた。
「は~い、じゃあ解散っ!お疲れっした」
店長のその言葉に、その場にいる全員が声を揃えて
「「お疲れ様でした~」」
と返し、後は各々好きに動く。
俺も早く帰ろうかと歩き出そうとした時、
「ゆうと~、祝賀会やんぞ~」
という思わぬ先輩の言葉に俺は驚き立ち止まると大きな声をあげる。
「えぇっ!?」
するとびっくりして呆けている俺に追い討ちをかけるように、
「はいは~い、これはさっきスタイリスト全員で決めた事だから、ゆうとに拒否権はないわよ~」
と、別の先輩が笑いながら声を掛ける。
「えっ………」
「ゆうと、そういうこった………諦めて行くぞ」
タカさんはそう言いながら、慰めるように俺の肩をポンッと叩いてきて………
「………へーい」
俺は諦め、きっと明け方まで続くだろう飲み会で潰される覚悟を決め、皆の後を追いフロアを出てスタッフルームへと向かった。
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