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今日もいつもと変わらず2人草野の家に帰る、コンビニ寄ってカゴに適当なお菓子を放って、カウンターで肉マンとピザマン1つずつを頼む。
どっちも食べたいからって半分に分けて、それを頬張りながら少し肌寒くなった帰り道を2人歩いた。
って言ったら仲良く分けた様に聞こえるだろ?
でも実際は自分が両方食べたくて、無理矢理に半分もぎ取っただけの話。
「お前、今日泊ってくのか?」
『あー、帰らないと弟が煩ぇんだよなぁ。まだわかんねぇ』
そんな会話をしながらマンションの階段を上がっていくと、草野の部屋の前に女が立っているのが見えた。
その女は草野の顔を見て嬉しそうな顔をしたが、草野は心底嫌そうに眉間に皺を寄せて溜息をつく。
草野を「宏太」と呼んだその女に俺は見覚えがあった
『あぁ、あれ草野の姉ちゃんだろ?』
草野は眉間に皺を寄せたまま俺に部屋の鍵を手渡して「先に部屋入ってろ」そう言って姉を連れて上がってきた階段を降りていく。
俺は鍵を開けて部屋に入ろうと思ったけど、何となく草野の態度が気になって一度は開けたドアを閉めて階段を降りる。
階段の下では草野と草野の姉が話をしていた、草野の表情からとても話しかけられる雰囲気ではなくて、俺は階段途中の壁にもたれかかり話が終わるのを待った。
途切れ途切れに聴こえてくる会話から、家に帰って来てほしいと懇願するものだとわかるが、その願いに草野は冷たく「帰るつもりは無い、ここにも二度と来るな」そう言い放つ
何故そんなに姉に冷たく当たるのか、何故家に帰りたくないのか…
以前、草野の部屋から姉が出てきたのを覚えている、あれから喧嘩でもしたんだろうか…
二度と来るなと言われた姉は涙を溜めていた
聞いちゃいけない話だなと思い、部屋へ戻ろうとした時聞こえた一言に俺は固まってしまう。
「まだ好きだから」
誰が、誰を好きだって? 言ってる事が解らない、姉が弟にいう言葉にしては熱が篭もる様な言葉だ。
草野は声を荒げ「いい加減にしろよっ 帰れっ」そう怒鳴って階段を上がろうとこちらを向いた
草野が声を荒げて怒鳴っている姿は見たことが無い、怒っても冷静で静かに怒る様な男だ、俺はそんな草野に驚いた
「立花…?」
『あ…と…悪い、俺…ゴメンっ』
「立花? おいっ立花っ」
俺は草野の脇をすり抜けて逃げた。
遠く、草野の俺を呼ぶ声がしたけど、俺は振り返らなかった。
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