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照れた顔をそっぽ向いて隠した俺の目の前をクラスメイトの野々村が通る、俺はバシッと野々村の胸に封筒を押しつけて
『これ、やるよ』
野々村はいきなりの事で状況が解っていないので「何で?」って顔してたけど、俺は要らないものだからと付け足して、野々村にチケットをあげた。
だって要らないものだ、もうチケットもっらったし。
顔は冷静を保ちつつ、心の中ではちょっとワクワクしていた、可愛い彼女では無いが恋人とのデートには憧れていたから。
土曜日を待ち遠しく過ごす5日間、金曜日の夜は次の日が楽しみでなかなか眠れなかった。
待ち合わせは午前10時、早く寝なきゃと思えば思うほど眠れなくて、何度も寝返りをうつ。
それでもいつの間にか眠っていたらしく、掃除機の音で目が覚めた。
俺はボーッと時計を見て『10時10分か…』と目を閉じる。
ガバッと起き上がりもう一度時計を見ると、10時10分で間違いない。
『ヤバいっ遅刻だ』
急いで顔洗って、歯磨きして、服なんて悠長に選んでる場合でも無くて適当、それから寝癖隠しにキャップ被って、パーカーを手に取り急いで家を出た。
携帯には何度も草野からのメッセージがきていて、既読を付けたのは待ち合わせ時間を30分も過ぎてから。
俺は一言「今行く」それだけ送って走った。
息を切らせて待ち合わせ場所に着いた俺は草野を捜す。
歩きながらキョロキョロしていると、柱に背中を預け、眉間に皺を寄せて立っている草野が見える。
明らかに機嫌が悪そうだ。
『悪い…寝坊した…』
謝ったのに、俺の頭には拳が降ってきた。
『痛ぇ…謝ったじゃん、そんなに怒ることねぇだろ』
「待ち合わせ時間に来ねぇし、電話も出ない、メッセージも見てないって、何かあったのかと思うだろ。寝坊したなら遅れるぐらい言えよ」
草野は遅れた事じゃなく、連絡が無い事に心配をしていただけだった。
怒られたのに、何だかそれが嬉しくて、顔がニヤけてしまう。
「お前、何笑ってんだよ。怒られてる自覚あるのか?」
『あ、あぁ。悪かったって』
草野は少し溜息をついて「行くぞ」と、それだけ言って歩き出す。
バス乗り場で時刻表を見たが、バスは出たばかりで30分も待ち時間がある。
『ベンチ座ってようぜ』
2人並んでベンチに腰掛けてバスを待つ。
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