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特に何か話すわけでも無く、ただ無言で座っていた俺の手がピクリと反応する。
ベンチの上に置かれた俺の手に草野の手が触れたのだ。
触れると言っても、小指と小指がぶつかる程度だけど、意識はそこに集中してしまう。
手なんて繋いだら俺の方が全然小さくて…何か連れられてる感が出そうだし、そもそも男2人で手なんて繋げないし。
家じゃない場所で触れているのが新鮮で少しドキドキした。
だから、バスがきて離れていってしまった手が少し寂しくて、待ち時間がもう少し有っても良かった…なんて思ってしまった。
『遊園地なんて小学校以来だわ、まじテンション上がる。時計回りで乗り物全部制覇しようぜ』
俺達は本当に時計回りに乗り物に乗っていき、回っている道の途中でチキンやホットドッグ、ドーナツにソフトクリームと様々な物を食べた。
嫌がる俺を無理矢理お化け屋敷に引きずり込まれた時は殺そうと思ったが、出てきた後にチュロスを買ってもらって機嫌も直った。
乗り物全部制覇と言ったからにはと、メリーゴーランドにも乗って、白馬に跨がる草野に大爆笑で写真を撮りまくって、降りた後は不機嫌な顔の草野から肩パンをくらう。
『けっこう暗くなってきたなぁ、そろそろ帰る?』
「最後、あれ残ってるぞ」
『あれ?』
指を指されたのは観覧車だった。
『あー…あれは、ノロいし時間かかるから乗らなくて良くねぇ?』
「全部制覇なんだろ?乗ろうぜ」
『男2人で観覧車とか、キモいだろ』
「そんなの、誰も気にしてねぇよ」
仕方なしに最後の乗り物、観覧車の乗り場に並んだ。
男2人で観覧車は周りも引くかと思ったが、俺達を見ている人は誰もいなかった。
順番がきて、扉を開かれる。
乗り込んで、俺達は向かい合わせに座った。
ゆっくり、ゆっくりと上がっていき、外は薄暗くなっていたからたくさんの電飾がキラキラと光って凄く綺麗だ。
『はぁー…綺麗だなぁ』
素直に思っている事が口からでる。
外の景色に魅とれていたら、草野が立ち上がって俺の隣に座った。
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