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繫ぐ糸 Scene草野
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道端に枯れ葉が落ち、空気も冷たくなって季節はどんどん冬に近付く。
つい最近までTシャツで歩けたのに今は制服の上にパーカーを羽織り、ジッパーはキッチリと上までしめられている。
道行く人たちはマフラーや手袋を着け冬の装いになった。
俺は寒いのに手袋も着けず、暖を取るため毎朝同じコンビニで暖かい缶コーヒーを買ってポケットに突っ込み学校へ向かう。
いつもレジでお金払って店から出て行くだけだった、なのに今日はいつもと少しの変化が。
いつものコンビニ、いつもの缶コーヒー、いつもの店員、店員とのいつもの会話は金額を言われ、袋にお入れいたしますか?それだけだった。
そもそもただのコンビニ店員と客なんだから、それが当たり前と言える。
でも今日は「最近寒くなりましたね」それが付け加えられた、話かけられた事に少し驚きはしたが「そっすね」そうぶっきらぼうに返事をする、そしたら店員は笑顔で俺を見ていて…それからというもの、その店員は少しずつ会話を増やしていった。
それが常連に対する親しみなのか好意なのかは解らなかったが、話し掛けられる事に慣れてきた俺は談笑する様にもなって、胸に付けられたネームバッチを毎日見ているから名前も覚えてしまった。
『草野、コンビニ寄ってこうぜ』
学校からの帰り道、立花はコンビニに寄りたいと言った。
「何か買うのか?」
『お菓子』
「お前、食い散らかすからダメ。それに自分の金で買わないんだろ?」
『ちゃんと片づけするから』
「この前もそう言って散らかしたまま帰っただろ」
『今日はちゃんとやるって!だからコンビニ、なっ?お菓子買って、財布持ってきてないんだよ』
「いつも財布持ってねぇだろ」
『今度何か奢るから』
「今度っていつだよ、適当な事ばっかり言いやがって」
『映画見に行くって言ってたの俺が奢るから、なっ?』
「そもそもその映画は俺が見たいんじゃなくてお前が見たいやつだろうが」
『ポップコーンも付けるから』
そう言って八重歯を見せながら笑う立花を見て俺は「仕方ねぇな、ちゃんと片づけろよ」そう笑いながら言ってコンビニに入って行く。
カゴに適当にお菓子を入れてレジに立つと、そこにはいつもは朝しかいない店員がいた。
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