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呆気ない終わりだった…。
特別仲が良かった訳じゃないが
ちゃんと恋人としての時間を過ごしてきた…
好きだった…
愛情表現はあまり得意では無かったが自分なりに伝えていたつもりだった…
たったこれだけの事で壊れるなんて思っても無くて…
暫くその場に立ち竦み、動けないままでいた。
俺はもう一度話そうと教室に向かうと俺の隣の席のはずの立花はいなくて、別のクラスメイトが座っている。
クラスメイトが朝から席替えがあった事を教えてくれて、俺の隣にいた筈の立花は随分と離れた席に座っている。
話し掛けに行こうとしたら、立花と目が合った。
その目は俺を拒絶する目で…俺は何も言えなかった。
結局俺は何も言えず、何も出来ず、家に帰っても考えることは立花の事ばかりで…
部屋の中には立花の物が溢れている。
立花が自分の専用クッションだと言ってソファーに置いたクッションを俺は掴んで顔に押し当て「クソッ」と行き場のない気持ちを吐き出して、壁にクッションを投げつけた。
学校へ行って同じ教室にいるのに、全く目も合わない。
声が聞こえるのに、その声は俺にかけられる言葉は無い。
笑い顔は見えるのに、その笑顔は俺に向けられるものでは無い。
そんな日々が気付けば半月も過ぎていた。
家に帰ればあの日壁に投げつけたクッションは床に落ちたままで、部屋の中には立花が来る度に置いていった物達が其方此方に見えている。
俺は携帯を手に取って、少しの期待を持って立花へメッセージを送った。
この荷物を取りに立花がこの部屋へ来たら…もう一度話せるんじゃないかと期待して「お前の荷物どうする」って…そう聞けば取りに来るって言うんじゃないかってバカみたいに期待してた。
だけど…返ってきた言葉は「捨てていい」それだけだった。
取りに来いって言いたかったけれど、その言葉は言えなかった。
捨てていい、その言葉が俺の気持ちも捨てられた様で…
息がうまく出来なくて…涙がこぼれた。
ゴミ袋に立花の物を1つずつ拾い上げ入れていき、クッションも袋の中へ放り込む。
俺はゴミ袋を持って外に出た
外はいつもより冷え込み空からは雪が降ってきていて…
「寒…」
俺は手に持っている袋をなかなか捨てられずにしばらく立ち止まったまま、空からは降り続く雪を見ていた。
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