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ほんの数週間前まではうまくいっていた。
学校では相変わらずの憎まれ口を叩く立花だったけれど、二人きりの時は不器用なりにちゃんと愛情表現をしようとする所が可愛かった…
遊園地でデートして…手を繋いだ。
うまくいっているはずだった。
こんなに簡単に、こんなに呆気なく終わると思っていなかった…
俺は手に持っていた袋を結局捨てることが出来ずに、部屋へと戻り袋を部屋の隅へと置いて、何もする気になれず、濡れた髪もそのままにベッドへ潜り込み目蓋を閉じた。
あれから…立花が俺に別れを告げてから何日経っただろう。
気が付けばまわりのクラスメイト達が明日から冬休みだと浮かれていた。
クリスマスや初詣なんかの話で盛り上がるクラスメイト達の会話を俺はただボーッとしながら聞いた。
教室に西日が差し込む頃、クラスメイト達が帰宅していく、俺は立花が帰っていく姿を窓から眺めていた。
このまま話せないで終わっていいのか…
振り返り少し目線を上に上げた立花と目が合った、すぐに目線はそらされたが胸の奥が締め付けられる様に痛くて、このまま終わりたくなくて、気が付いたら立花を追いかけていた。
走って追いかけ、追いついた時に外の冷たい空気を思い切り吸い込んだせいか盛大に咳き込んだ、立花とクラスメイトが振り返り俺に気付く、立花は足早に逃げるようにその場から去ろうとしたが、再び走り出し俺は立花の腕を掴んだ。
「悪い、コレ借りてくから」
立花の友人にそう告げて、俺は嫌がる立花を引き摺る様に歩き出す。
『バカ野郎っ。ぶざけんな、離せよっ』
「…煩ぇ。黙ってろ」
『何でこんな事っ…』
「何でだって?ちゃんと話たいからに決まってんだろ」
『俺はっ…話すことなんて無いからな』
離せと喚く立花の腕を強く掴み、俺はどんどん歩き、暫く喚いていた立花も観念したのか眉間に皺を寄せ、唇をキュッと閉じ静かに腕を引かれ歩いた。
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