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目が覚めると部屋は真っ暗で、俺は見えない時計に目をこらした。
目を細めても見えない時計を見るためモソモソと動き出すと草野が目を覚ましたのか「今何時?」そう聞いてきた。
『暗くてわかんねぇ』
「明かりつけろよ」
俺はコタツから出て、部屋の明かりを付けた。
『もう8時…俺ら何時間寝てんだ』
「あー…寝過ぎて頭痛てぇ」
『飯、どうする?母ちゃんが蕎麦のつゆ?タレ?作ってあるから蕎麦食えって言ってたけど、蕎麦食う?』
「蕎麦だけじゃ足りねぇから、コンビニ行く」
『マジで?外寒いじゃん』
「俺、行ってくるわ。その間にお前が蕎麦作れよ」
『わかった』
草野が家を出てからすぐに蕎麦の準備にとりかかる。
と、言っても蕎麦つゆを温めて蕎麦をゆでるだけ、すぐに出来上がってしまう。
蕎麦を茹でる為のお湯を沸かして、草野が帰って来たら茹で始めようと、キッチンをウロウロしてると玄関のドアが開く音が聞こえた。
俺は待ってましたとお湯の中に蕎麦を入れて、リビングに入ってきた草野に『おかえり』そう声をかけた。
買い物袋を手にぶら下げて、草野は俺の顔を見て少し照れくさそうに「ただいま」そう返事をする
「何か久々に誰かにおかえりなんて言われた」
『おかえりぐらい何時でも言ってやるよ』
草野がそんな俺の一言にあまり見せない笑顔を見せた。
『蕎麦、できたから食おうぜ』
テーブルに出来上がった蕎麦を置いて、草野がコンビニで買ってきた食べ物と飲み物を袋から取り出して並べていく。
『何これ、何で紙袋に入ってんの?』
袋の中に紙袋があって、俺はそれも食べ物かとおもい取り出した
紙袋を開けてテーブルに置いたが…
『え…?』
紙袋から出てきた物は食べ物ではなく、箱には極薄と達筆な文字が書かれた箱だった。
『……極…薄…』
「漢字読めて良かったな」
『これ位読めるわって、そうじゃなくて』
「何だよ、必要だろ」
ここは軽く『だよなー』とか返した方が良いのか、照れた方が良いのか…そんな事を考えたが、俺は無言で紙袋に箱を戻した。
「必要なかった?」意地悪そうに笑って俺の耳を触る草野に返せた言葉は
『蕎麦…のびるから早く食え』それだけで、きっと今、自分は耳まで赤くなっているのが自分でも解るくらい耳が熱かった。
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