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未だかつて無い甘い雰囲気に俺はたじろぐ、何故こんなに恥ずかしいのか、世の中のカップル達は日々こんなに恥ずか死ぬ雰囲気の中、どう戦っているのか。
いや、戦っててはないかもしれないけれど、死にそうなほど恥ずかしい攻撃にあっているようで何とも言えない。
『は…』
「は?」
『恥ずか死ぬ!!』
「何だそれ、アホか」
『だって何かむず痒い』
「やっぱり恥ずかしかったんじゃねぇか」
恥ずかしくないと言い張った俺は、盛大に恥ずかしさを口に出してしまっていて、どうにかこの場から逃げ出したくて『トイレ行ってくる』と、わざわざ口に出して言って立ち上がった。
顔は見てないけれど、意地悪く笑う草野の顔が嫌でも想像できた。
トイレから戻ってくると、さっきまでの空気も通常に戻り草野は眉間に皺を寄せながらスマホの画面を見ていた。
俺がコタツに入ると眉間に皺を寄せたまま俺の顔を見る
『顔恐ぁ』
「あ?…あぁ」
草野は眉間に皺を寄せた顔を自覚したのか、目を伏せて短く息を吐いた。
俺は人差し指で草野の眉間をのばすように撫でて何かあったのか聞いた。
「大した事じゃねぇよ」
草野は言いたくないのか困った様な顔で言うから、俺はそれ以上は聞いちゃいけない様な気がして何も言えなかった。
無理に聞いたって何かしてやれるほど俺は大人じゃなくて、ただの非力な子供だ。
草野が言わないなら、俺に出来ることがないからだろうし、何かして欲しいとは思っていないのかもしれない。
少し気まづい雰囲気になってしまった俺たちは面白くないと言っていた年末の特番をボーッとただ眺めた、生放送の番組で新しい年に向けてカウントダウンが始まると草野がポツリと
「初詣…行くか」と口を開く。
『お、おう。行こうぜ初詣』
「近くに神社ある?」
『あるある。歩いて5分くらいかな』
「じゃぁ、そこに行こう」
俺はマフラーやニット帽、手袋にベンチコートを出してきて、テーブルに15円を置いた。
「何で15円?」
『お賽銭は15円だろ?Google先生が言ってる』
「何の決まりだよ」
『十分にご縁がありますように?ご利益がありますように?だっけかな?』
「解ってないだろそれ、Google先生の話ちゃんと見ろよ」
草野が「ご縁はもう要らないからご利益でいんじゃね?」そう言って笑う。
やっと笑って俺は少しホッとした。
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