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あの日々からの、一歩 4
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国「?!何やってんだあいつ…っ」
思わずして声が漏れた。
驚いたのもあるが、雨音のせいで普段の2割増しくらいの声量で。
最初は、木に引っかかった黒いゴミ袋かと思った。
思わず二度見すると、それはゴミ袋ではなく人だと認識した。
そしてその人はかつてのチームメイト、自分の想い人だと気付いたのだ。
公園内に立つ木の中でも一番大きい木のてっぺんに、奴はいたのだ。
―――――――――――――影山、飛雄。
この大雨の中、木登りする程の馬鹿では…ないと信じたい。
無いと言い切れないのが逆に怖い。
とにかく急いでその木の側まで寄り、上を見上げて影山に声を掛けた。
国「おいっ!!影山…っ!!」
雨に、声が掻き消されてしまいそうだった。
でも俺の声を影山は聞き取り、一瞬驚いたのか肩をびくつかせたがすぐ下を向いた。
"…くにみ?"
雨音で聞こえなかったが、確かにあいつの唇がそう動いた。
国「お前何やってんだよ!!死ぬぞ!」
滅多に出さない大声だから、裏返ってしまわない様に気をつけながら発音する。
遠くの方で雷が鳴り始めているのだ。
高い木には落ちやすい。
もし、そんな事になったら―――――…!!
影「〜っ…コ!!」
国「はぁ?!」
影「ネコがいんだよ!!」
やっと届いた声と影山が指差す方向へ目を向ける。
その枝の先に小さい猫がいたのだ。
野良猫か、雨のせいか随分汚い灰色の猫だった。
あながち影山が黒いゴミ袋で、猫がコンビニの袋ってところだ。
国「お前!猫から逃げられんじゃん!!俺が行くから戻れ…っ!」
すると影山はむっとした顔をして、猫に手を伸ばす。
あんのバカ…っ!!
今はお得意の負けず嫌い発揮してる場合じゃないだろ…っ!!!
心配するこっちの身にもなれよ…っ!
あと数センチで猫に手が届く。
ハラハラしながら見守った。
届いた!…その瞬間、
ピカッッ!!バリバリバリ!!!ドォオオオオン!!!!
近くの山にとうとう雷が落ちた。
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