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あの日々からの、一歩 6
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歩いて10分程で、家に着いた。
国「今親いないから、気ぃ遣わなくていーよ」
影「…うぬん」
そんなやり取りをして、玄関に入った。
親がいない、ってとこに反応なしか…。
まぁ当然っちゃ当然だよな。
少しは警戒したっていいのに…。
と、理不尽に腹が立つ。
国「そういえばさ、何でさっき泣いたわけ?」
ふと思い出した様に何の気無く聞く。
靴を脱いで揃えていた影山は、その動作を停止させた。
目が合うと、見る見る赤くなっていく影山。
――――――――――…何その反応。
そんな表情をされると、勘違いしてしまいそうになる。
国「…雷?」
影「ちがう」
小さい声でそう答えると、影山がへたりと廊下に座り込んだ。
それに合わせて俺も座り込む。
国「…高い所から、…
影「お前が!怪我したと思ったからだ!!」
真っ赤な顔で叫ばれ、国見は唖然とする。
影「雷も、落ちたのも!確かにビビった!!けど、それ以上に!お前の本気な顔とか、手怪我したらバレーできねぇとか!!いろいろゴチャゴチャして心臓うるせーんだよ!!お前が怪我してねぇってわかったら安心して訳分かんねぇけど、涙が出たんだよボゲェっ!!」
言ってる事はなかなか頭の悪い、無茶苦茶な台詞だった。
しかしそれは、国見が理解するには十分過ぎた。
国「影山、俺の事心配してくれたの…?何で…、俺はお前を………」
………――――――裏切った、酷い奴なのに。
そこまで言って、言葉を飲み込んだ。
いいのか、蒸し返してしまっても…。
何もかも、もう遅いのではないだろうか。
古傷は触らない方が、無難じゃないのか。
再び廊下に、沈黙が流れた。
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