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あの日々からの、一歩 8
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あぁ、何で言っちまったんだ…。
伝えねぇって決めてたのに。
国見、泣いてるし…。
覚悟はしていたが、いざあの日々の事を謝り泣かれてしまうと自分がした事の大きさを改めて実感できる。
やるせない気持ちのまま、国見の次の言葉を待った。
国「ごめん…、影山。」
あぁ、ほらフられた。
バカだ。
わかりきっていた結果なのに…、悲しいだなんて。
国「俺もあの頃の事、謝りたい。お前だけが悪いんじゃない…。」
ふいに国見が顔を上げた。
そのため、その瞳と目が合った。
俺よりも、深い青。
そこに涙が溜まって、雨の雫と同じく幾筋も頬を伝う。
国「もう、許されないと思ってた…。伝える事もできないと思ってた…」
国見の手が、俺の手に触れた。
そこからじんわりと体温が伝う。
その事に、ドキリとした。
雨で濡れた冷たい体が、まるで国見に溶かされるようだった。
国「俺も、影山が好きだよ」
静かな廊下に国見の声が鮮明に聞こえ、世界が止まったみたいだった。
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