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風邪っぴきlullaby 2
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大学からの帰宅途中、予報通り雨が降り始めた。
傘も持っていたし、本降りになる前に家に着いた。
しかし夕飯の支度をしようとしたら、食材が足りないことに気が付いて急いで近所のスーパーへ向かった。
もちろん、傘を持って。
で、今マンションへ帰る途中なんだけど…、
月「…どうしろって言うの」
「にゃあん」
僕も何で足を止めちゃったかな…。
いや、止めざるを得なかったんだけど…。
傘をさして歩いていると、傘下に入るようにして猫がついてきたのだ。
その猫が、真っ黒な目つきの悪い猫で…。
月島は、どうしても追い払う事が出来なかったのだ。
けれど、うちのマンションはペット禁制。
連れて帰ることは出来ない。
月「っ、もう!これで満足?わかったら…、ついてこないで。」
ざぁざぁと雨が降りしきる中、パサリと傘を道脇に落とした。
傘が風で飛ばないように電柱と塀の間に立て掛けるようにして。
「みゃあ」
ひとつ、黒猫が鳴いた。
しかし月島は振り返らずに、その場を後にした。
パタン
月「…………さむ」
水を吸ったセーターが肌に張り付いて気持ち悪い。
ジーンズも色が濃くなって、重たい。
ガサリと買い物袋を玄関先の廊下へ置いて、バスルームへ向かう。
すぐに温かいシャワーを浴びて、衣服を新しい物に着替える。
黒尾の言う通り雨に降られてしまい、何だか少し悔しかった。
黒「あれ?蛍、朝と服違くね?」
夜8時。
黒尾が帰宅して、2人揃って夕飯を食べていた時の事だった。
ギクリ
月島の箸が、一瞬だけ止まる。
月「気分じゃなかったので、やめただけです。深い意味はありません。」
しかしそれ以外の動揺は見せる事なく取り繕えたように思う。
それに対しふぅん、と返事をした黒尾だったがその声は腑に落ちないといった感じだった。
黒「そう言えば洗面所に濡れたセーターあったね。………蛍ちゃーん。証拠は上がってますよー?」
バレてるのか…。
それならそうと最初から言えばいいのに…。
つくづく、意地の悪い…。
黒「これで風邪でも引いたら全部俺の言った通りになっちゃうね」
ヘラリと笑う黒尾に、フイと顔を逸らす。
なるもんか…。
この時は、確かにそう思っていたんだけど…。
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