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風邪っぴきlullaby 3
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コホ
朝から感じていた、喉の違和感。
その焼けるような痛みに眉を顰め、ひとつ咳払いをした。
まずい…、頭まで痛くなってきたんだけど…。
山「あ!ツッキー!!次の講義まで……って、あれ?ツッキーちょっと体調悪い?!」
教育学部の教室から丁度出て来た山口と鉢合わせてしまった。
そして目敏く月島の異変に気付き指摘する。
月「山口うるさい…。何とも無いから。」
それを軽くあしらおうとするも、今日の山口はなかなか引かなかったのだ。
山「ごめんツッキー…。でも顔赤いし、苦しそうだよ?黒尾さんに…月「いいからっ!!」」
どうしても、黒尾にだけは報告して欲しくなかった。
迷惑を、掛けたくなかったのだ。
珍しく声を荒らげる月島に若干怯む山口だったが、その直後頭に血が上ったのか月島がフラリと体勢を崩してしまう。
それを慌てて支えるが、その触れた体があまりにも熱かった。
山「!!ツッキー、これ熱あるよ!もう今日は帰った方がいいよ!俺送るから!!」
月「ぅ…、わかった、から。黒尾さんには…っ」
頑なに黒尾への連絡を拒む月島に、山口は頷くことしか出来なかった。
月島の荷物を代わりに持ち、友人に欠課を伝えると山口は月島を連れて大学を後にした。
山「とりあえず、ゆっくり寝ててねツッキー。」
額には冷えピタ。
口元にはマスクを掛けられ、布団を何枚も重ねられた。
サイドボードにはゼリー飲料だとか、スポーツドリンクや薬各種がこれでもかと置かれている。
甲斐甲斐しすぎでしょ…。
月「っ、山口…!………あ、ありがと、」
大学へ戻ろうと部屋を出ようとする山口に、たどたどしくお礼を言う。
それに山口は少し驚いたが、すぐにいつものように笑ってみせる。
山「あたりまえでしょ!早く、よくなってねツッキー!」
こんな時、幼馴染である山口がいてよかったと思う。
パタンと部屋の扉が閉まって、部屋には自分だけになる。
広いベッドに一人きり横になったはものの、何だか落ち着かない。
いや、風邪の時は心細くなるっていうじゃないか。
同じベッドにいつもいるはずの存在が無いからだとか、決してそういうのではない。
コホ
またひとつ咳をして、ゆっくりと目を閉じた。
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