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拒絶
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床にばらりと落ちたのは
長く長く伸びた俺の髪の毛。
両親から大事にされ、俺自身も好きだった俺の髪の毛。
でももういらない。
勢いよく、迷いなく切りすすめていく。
全体的に短くなった後、両親の呼ぶ声がしたので居間に向かった。
最初見たとき両親は驚愕の表情を浮かべ、詰め寄ってきたが、何も答えない俺に雰囲気を察しそれ以上追求することはなかった。
幸いにも、俺の親は最高にいい人たちだった。
それから小学校卒業まで、学校に行くことはなかった。
幸いにも、頭は良かったので中高一貫の全寮制の男子校を見つけそこに入学した。
そこはもともと両親が行かせようとした学校だったらしく、寮生活なのを寂しがっていたが、これからのことを考えると両親と別居なのは都合が良かった。
両親の中での模範的な性格だった俺は、壊したくなかった。
寮に移ると、俺は髪を金髪に染めた。
外見を真逆にしたかった。
身長もあの時より伸びて、175cmにもなった。
中学生としては高い方だった。
元々そっちのけがあったのか、周りの奴らは俺の顔と地位目当てで寄り付いてきた。
抱いてほしい、いつしかそう言われることが多くなった。
そんな奴らを俺は誰も拒まなかった。
手当たり次第に手を出した。
体を重ねるうちに相手は愛を求める。
「「ねぇ、俺のこと、好き?」」
「うん!もちろんじゃん。好きだよ。」
全く愛情など湧かなかった。
人に対して感情を持たなくなった。
別に感情がなくなったわけじゃない。楽しいときはすごい楽しいし、友達だってちゃんとたくさんいる。
ただ、愛情だけが欠落した。
だから誰にでもフラットに、軽く付き合えた方が楽だった。
はじめは戸惑うこともあったが、自分の中で拒絶するうちにそれが当たり前になった。
俺が好きだと言えば相手は喜ぶ。
好きだなんてただの言葉だ。
だからこそ、俺のことを本気で好きになってほしくなかった。
だから遊びまくって、軽い男のフリをしていた。
それが一番楽で、楽しかった。
無理をするでもなく、段々と、それが俺になっていったんだ。
人に抱かれるなんて、真っ平御免だ。
俺は人を好きになれないんだから。
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