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だって君があんなにも
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そして、事件は終わり俺の部屋に水樹を呼んだ。
忍にはまだ、事情を話してないが雰囲気を察して今日は貴澄の所へ行ってくれた。
「甘いよな、お前」
「誰に?」
「彼奴にに決まってるだろ」
「あぁ…そうかなぁ?早く終わらせたかったし、さ」
水樹の肩はまだ少し震えている。
あの事件で一番トラウマを持ったのは他でもない水樹だ。
だからこそ、巻き込みたくなかった。
話すわけにはいかなかった。
隣に並ぶ水樹の肩を軽く撫でる
「裕哉…」
「…なに?」
「俺は確かに、ああいう奴の事は…怖い。怖いけど…!だけど、お前が一人で苦しんで、なにも知らないうちに傷ついている方が…怖いし、悲しい」
「…うん。…ごめんね」
「俺はお前に護って貰いたいわけじゃない。確かにお前に比べたら弱いし、頼りないかもしれないけど…」
そんなことない。お前は十分に強いし、頼れる存在だよ。
あんなに震えているのに、虚勢を張って、俺のために怒って。
俺なんかよりもよっぽど強い。
「俺がお前を巻き込みたくなかったのは、お前が弱いからでもら頼りないからでもないよ。…只、大切にしたいだけ。傷つけたくないんだ。お前の存在が少しでも揺らぐような物を一切近づけたくない。」
こんな告白めいた言葉でも、兄弟という関係がある限り、すべては思いやりの言葉に変わる。
愛情が、優しさになる。
急に超えられない境界線が水樹との間に引かれるような感覚に陥る。
「水樹を巻き込むことは俺にとって最善じゃなかった…けど水樹が俺の為に怒ってくれたことが、不甲斐ないけど嬉しかったよ。
ありがとう。水樹。」
水樹の体の震えはとうにおさまっていた。
その代わりに、泣きそうな顔で俺を見る。
「そんな顔すんなよ。さっきまで威勢良かったのに」
「…っるせぇ…くそ」
「照れるなって。可愛いなあ…」
「っん、…いきなりキスとか、すんなよな….」
「やばいな…ごめん。ちょっと止まらない、かも」
浅いキスから始まった水樹とのキスは甘く蕩けてしまいそうだった。
無言の愛情表現でしか、お互いを愛せない俺たちはなんて愚かで寂しいんだろう。
言葉にしたら崩れてしまう関係は、虚しいだけなのだろうか。
それでもやっぱり、壊れてしまうくらいなら此れの方がずっと良い。
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