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勝手な独占欲
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雑踏を潜り抜け、漸く水樹の教室へと辿り着いた。
しかし、残念なことに、本当に不本意なことに、劇は既に始まっていた。
「うわっ、うっそ…最悪…」
「あっ…裕哉様…っ///」
「あー、こんにちは。劇、始まっちゃったんだね」
「あっ、と、途中からでも入れますよ!」
「本当?じゃあ、入れてもらおうかな」
絶対もう一回見る。二回見たって足りないくらいだ。
入ってみると中は超満員だった。
「シンデレラ。私達は舞踏会に行ってきますから、お留守番をしていなさい。」
「…はい。お母様」
…だれ?あの美少女。
うちの水樹くん?
これもう…犯罪クラスだろ。
流石金持ち校といったところか、執事服然り、この劇の衣装も精巧に作られていた。
まるで本物の姫がそこにいるようだ。
水樹が言葉を発したり、動くだけで外野から歓声が上がる。
腹立たしいな…水樹のこんなに綺麗な姿を観衆に晒すのは。
そうこう考えているうちにクライマックスだ。
「シンデレラ…僕と一緒に城へ来てくださいませんか?」
「嬉しい…是非一緒に連れて行って下さい」
そんな艶やかな姿で、顔で俺以外を見て欲しくない、なんて勝手な独占欲が湧き上がる。
そして、劇が終わる。
携帯を確認すると、忍から連絡が来ていた。
[何処にいる?]
[1-S。次の回の水樹の劇見たいんだけど、良い?]
[わかった。これから行く。]
「シンデレラ、か。」
美しい美しいシンデレラ。
いつか僕だけの物になってくれないか。
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