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「だが、あれからはもう何も情報は得られないそうだ。完全に足踏みしている」
「俺が気になってるのはそこだよ。足踏みしてる……NEOともあろう世界的組織が、情報がなさすぎて足踏みしてんだぜ? これほど異常なことがあるかって話だ」
アランは思わずロイを見た。それは先ほどまで自分が考えていたことと全く同じものだった。任務の後から今まで感じていた違和感を、どうやらロイも同じように感じていたらしい。さらにロイは続けた。
「どんなテロリストの情報だって、NEOは入手することが出来るはずだ。情報網は世界中に広がってるわけで……それでもここまで情報がないってことは、つまり、なんていうか……」
突然、歯切れが悪そうに言葉を濁したロイは、窓から見える夜景に目を移した。煌びやかな光景が何故か今はひどくチープな装飾品のように見える。
「もちろん俺は、アメリカって国を愛してるさ。ニューヨークのイカした感じも、ホワイトハウスのお堅い感じも好きだし、FBIやグリーンベレーの頼もしい体制も尊敬してる。だから、その、別に侮辱するわけじゃねえけど、さ」
「何が言いたい?」
「つまり、俺が考えてるのは、情報が意図的に消されてるんじゃないかってことだ」
「……」
アランは何も言わなかった。それはロイの話に驚いたからではない、予想通りだったからだ。黙ったままのアランの様子を伺いながら、ロイはさらに口を開く。
「NEOの情報網に適う組織なんて限られてる。例えばーーアメリカ軍内部とかな」
「身内を疑ってるのか?」
「あいつらは身内じゃねえだろ。NEOはどの国にも属さない組織のはずだ」
「そういうことを言っているんじゃない。普段は同じ国旗を背負い、正義のために働いている人間を疑ってるのかと聞いている」
アランがそう問いかければ、ロイは押し黙った。顔には明らかに不満の色が浮かんでいて、それでも上手い反撃の糸口が見つからないのか、唇を噛んで黙っている。
しばらく沈黙が二人の間を支配した。だが、やがてアランが小さくため息を吐いてから、首を軽く振る。
「……俺もだ」
「へっ?」
「俺も、アメリカ軍を疑ってる。もっと言えば、陸軍特殊作戦部隊をな」
アランの言葉に、怪訝そうな顔から一転、衝撃を受けたような表情になったロイは、オウマイゴッド、と小さく呟いて大きく深呼吸をした。
「それじゃあ、俺の考えはやっぱりビンゴってこと? まじでアメリカ軍内部の人間が起こした反逆テロってワケ?」
「そこまでは分からない。だが、以前聞いた話に気になるものがあってな、そこから推測した結果だ」
突拍子もないと受け取られてもおかしくない結論に辿りついた二人は、それぞれの思考にふけり、それから数分ほど何も言えなくなってしまった。
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