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戻れない関係(拓哉視点)
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3限の授業が終わって、そろそろ目を覚ます頃だと思った俺は、風斗に謝る為に保健室に向かった。
今さらどんな顔で何を話せば良いのか話は纏まってねぇけど、まずは謝りたかった。
保健室のドアを開ければ、カーテン越しにごそごそと動いている影が見えた。
「起きてるか?」と声をかけたが、返事は無い。
その代わりバタバタと音がしたかと思えば、風斗は俺を見る事無く、そのまま保健室から出て行った。
いつも喧嘩をしたり嫌な事があっても避けられた事は無かった。
だから、今回もきっと避けられる事はねぇと思っていた。
でも、俺の考えが甘かった事に風斗の態度を見てようやく気付いた。
それでもこのままじゃダメだと少しでもいいから話したいと思った俺は、急いで風斗を追いかけた。
風斗は教室から鞄を取り、出て行こうとして、扉の所に居る俺に気が付いたみてぇだった。
けど、風斗は俺の存在に気付いただけで、俺を見る事無くそのまま教室から出て行った。
俺は、追いかける事が出来なかった。
風斗の目が俺を拒絶する目に変わっていたから。
今さらだ………本当に…………行動した後に後悔しても遅いって少しは考えるべきだって誰かが良く言ってたな……
本当にその通りだ。俺は、風斗の信頼を裏切った。俺は風斗にとって一番の親友の立ち位置じゃないといけなかったのに……
それ以上を望んではいけなかったのに……
俺の勝手な怒りで、俺にとっても風斗にとっても大切な大切なその関係を壊しちまった……
でも、でもな、風斗。
俺、俺は………親友だけじゃ満足出来なかった。
親友の立ち位置がどれだけお前にとって特別な場所か理解してた。
けど、俺はそれじゃ足りなかった。
いつの日か俺は、お前の全部を手に入れたくなっていた。
でも、この感情が何なのか、なかなか気付く事が出来なかったのに、お前を傷付けてお前に避けられてようやく気付いた。
今さら気付くとかバカだよなぁ……俺………
風斗、風斗。
俺、お前の事が好きだったんだ………
俺だけを信じてくれて、俺だけに時々見せてくれる笑顔にいつの間にか惚れてたんだ……
ごめん。ごめんな。もう二度とお前に近付かねぇ。
だけど……
謝るチャンスだけは俺にくれねぇか………?
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