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戻れない関係(拓哉視点)
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風斗が教室から出て行った後、クラスの奴等からどうしたのか色々聞かれた。
先生にも友達にも本当の事何て言える訳が無くて、体調が悪くなったから早退したと嘘を付いた。
放課後、先生から授業中に配ったプリントとかを渡しに行く様に頼まれた。
正直、あんな事をした後に、風斗ん家に行く勇気が出なくて、1時間くらい風斗ん家の前をウロウロしていた。
風斗は出ねぇと分かっていても心の何処かでは出るんじゃねぇかとビクビクしながらインターホンを押した。
出て来たのは、風斗の母親だった。
小せぇ頃から世話になっているせいか話している間、ずっと目を合わす事が出来なかった。
目を合わせたら風斗に何をしたのか直ぐにばれそうで怖かった。
風斗の母親は穏やかに話をしてくれて、風斗がまだ親に俺が何をしたのか話してねぇ事が分かった。
ってか、あんな事話せねぇか………
「寄ってかないの?」
この言葉に正直ドキッとした。
いつも当たり前の様に寄っているし、本当は寄りたかった。
俺にとっては絶好の謝る機会だとも思ったから。
でも、一方通行で謝ったって風斗には許してもらえねぇ。
俺の気持ちが風斗に届く様になるまで、まだ待たねぇといけねぇ気がした俺は、風斗の母親に嘘を付いて家に帰った。
親父は仕事で居ない。
飯を作るのはいつも自分だ。
でも、今日は何もする気が起きなくて、ただただ窓から見える景色を見つめていた。
その時、携帯の着信が鳴った。
発信者は話したくて逢いたくてたまらない風斗からだった。
直ぐに携帯に手を伸ばして出ようとした。
でも、俺は出る事が出来なかった。
電話で話すとか当たり前なのに、携帯の通話ボタンを押す事が出来なかった。
通話ボタンを押せないまま、俺はジッと携帯を見つめていた。
そして、着信音が途切れ、携帯が留守電モードになると、携帯からは、愛しい風斗の声とお礼の言葉が聞こえて、電話は切れた。
俺は、こんな些細な電話でも嬉しかった。
もう、電話で声を聞く事も出来無いと思っていた。
それに、俺に電話を掛けるなんて相当な勇気が必要だった筈だ。
明日……明日か………
明日俺達の関係はどうなるんだろうな………
なぁ、風斗?俺は、どうしたら良いんだろうな………
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