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遊園地
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乗り物から降りた俺は、直ぐに乾燥室に入り、びしょびしょに濡れた服を乾かしていた。
後から余裕綽々の顔で乾燥室に入って来た拓哉を一睨みしてから、そのまま10分ぐらいお互い無言だった。
この沈黙を先に破ったのは、拓哉だった。
「なぁ、風斗?怒ってんの?悪かったよ、ごめん」
「……………………………」
「……風斗?」
「…………………………………ない」
「ん?何?風の音で全然聞こえねぇ」
「………………許さない」
「へ?お前、そんなにびしょびしょになったの怒ってんの?」
「………別に、水に濡れた事には怒ってねぇ。拓哉は乗り物に乗る前に一応聞いてくれたし、だから、びしょびしょになった事に怒ってんじゃねぇ!」
「……はぁ?だったら何に怒ってんだ?」
「…………分かんねぇのかよ?お前、さっきの俺の話ちゃんと聞いてたか?」
「……え?お前まさかまだ怒ってんのか?だから、あれは俺のせいじゃねぇだろ?」
「お前のせいだろ!!!」
「はぁ~?何処がだよ!?俺がいつ他の女に気を取られたよ?俺はお前の事しか見てねぇぞ!!」
「そ、そんな言葉信じられる訳ねぇだろ!!絶対嘘に決まってる!!だって、見たんだからな!!!ニヤニヤしてるお前の顔、この目でしっかりと見たんだからな!!!!!」
「お、おい、風斗!!落ち着け!!落ち着けって!!風斗!」
「うるせぇよ!!こっち見んじゃねぇ!!」
(こんな事言いたい訳じゃねぇのに………自分の気持ちをコントロール出来ない…泣きそう……)
「おい、風斗!いいからこっち向け!!」
「嫌だ」
(………素直じゃなくてごめん……)
「いいから、こっち向けって!!」
凄く凄く困らせてる事は分かってた。
今までは女子にモテる拓哉を見ても平気だった。
でも、今は立場が違う。友達として幼馴染みとしてじゃなくて、恋人として拓哉を見てしまう……
俺だって、こんなに独占欲が強いって知らなかった。
それに、拓哉が俺以外からそういう目で見られるのがこんなに嫌な事だなんてこの関係になるまで気付かなかった。
出来れば、誰の目にも触れないで俺だけのモノでいて欲しいなんてこんなワガママ伝えたら、拓哉はどんな顔するだろう…………
ま、そんな事伝える勇気なんてねぇけど………
「何?」
グルグルと1人で考えていた時、拓哉が俺の顔を見つめているのに気付いた。
そして、顔が近付いて来たかと思ったら、俺の唇に拓哉の唇が触れた。
「ンッ……え?」
「風斗、これで許してくんねぇか?ケンカしたまま遊びたくねぇし、仲直りしようぜ?」
「た、拓哉…………」
「クソッ、ちゃんと聞いとけよ。いいか?こんな事すんのはお前とだけだ!!だから、お前が不安になる事なんか一つもねぇ。俺が好きなのは風斗だけだよ。分かったか、風斗?クソッ、こんな事言わせんじゃねぇよ!!」
俺は、拓哉が自分の気持ちを素直に伝えてくれた事に驚いた。
けど、俺の不安を拭うのには充分な言葉だった。
それから、恋人同士になって初めてのキスのお陰で、さっきまでのモヤモヤは一瞬にしてなくなって、やっぱり、俺はスゲェ単純な奴だと改めて思った。
ってか、お互い顔が真っ赤で、ちょっと面白くて笑ってしまった。
「拓哉、服乾いた。行こう?」
「あ?あぁ」
「拓哉」
「何?」
「ありがとう」
自分の気持ち全てをこの言葉に乗せた。
伝わるかどうか不安だったけど、ちゃんと伝わったみたいで、拓哉は優しく笑ってくれた。
ご機嫌になった俺は、拓哉と2人で遊園地デートを満喫した。
乗り物に夢中になり過ぎて、気付けばお昼を過ぎてもうすぐおやつの時間帯に差し掛かろうとしていた。
そうか、そうか、だからか。通りでさっきからお腹の音がよく鳴るなと思ってたんだ。
………という事で、俺達は、ちょっと遅めの昼ご飯を食べる事にした。
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