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文化祭
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振り返ると、そこに立っていたのは、3限の時に教壇に立っていた委員長だった。
(委員長って、こんな可愛い声も出せたんだ……)
そんな事を呑気に考えていたら「今から、暇かな?」って聞かれた。
けど、暇な筈が無い。
腹が減り過ぎて、一刻も早く食堂に行って、ご飯が食べたい。
しかも、どっちに聞いてるか分かんねぇし………
「暇か暇じゃないか聞いてるんだけど?」
「どっちに聞いてんの?」
疑問に思っていた事を聞こうとした時、先に口を開いたのは、拓哉だった。
「両方に聞いてる」
「俺は、暇じゃない。今から飯食いに行くから」
「お、俺も拓哉と一緒に飯行くから…」
「そっか」
「何か急ぎの用?」
「ううん。別に急ぎの用とかじゃないんだけど、2人にしかお願い出来ない事だから………あ!それじゃあ、ご飯、食べ終わってからで良いから写真部の部室に来てくれない?」
「何で?」
「部室に来てくれたら話す」
「じゃあ、別に聞かなくていいから、行かねぇ」
「…………………」
うわぁ~凄く委員長困ってる………
「拓哉!そんな言い方は良くねぇだろ!!」
こそっと拓哉に伝える。
拓哉は、チラッと俺を見て、委員長に言った。
「はぁ……部室に行くのダリィし、直ぐに終わる話だろ?今、聞くから話せよ」
「聞いてくれる気になってくれたのは有難いんだけど、直ぐ終わる話じゃないし、あんまり他の人に聞かれたくないから部室に来てって言ってるの。ご飯も食べたいみたいだし」
「はぁぁぁ~」
「拓哉、そんな嫌そうな顔すんじゃねぇよ!!委員長ごめんな。コイツの事は説得して連れて行くから、飯食い終わったら行くな!!」
そう言うと委員長は嬉しそうな顔をした。
「神林君、ありがとう。ソイツも説得して2人で来てね。待ってるから。昼休みが無理だったら、放課後でも良いし、とにかく、どっちかで来て!よろしくね!!」
「うん」
話が終わると、委員長は去って行った。
横から拓哉の視線が痛いけど、気付かないフリをして、食堂に行こうと声を掛ける。
返事は無かったけど、俺の歩くペースに合わせて歩いてくれる拓哉の優しさを感じながら、俺達は食堂に向かった。
その途中で
「何で行くなんて言ったんだ?」
「だって、あぁ言わねぇといつまでも飯が食えない気がしたんだよ」
「だから、あそこで聞いとけば良かっただろ。それにお願いしてきたのはあっちだ。俺等がわざわざ大人しく言う事を聞く理由なんてねぇし、脅して聞くとか方法なんて沢山あるだろ?」
「そんな事言うんじゃねぇよ。脅すとか、女子にそういう事すんのは良くねぇだろ」
「ったく、どうすんだよ?面倒くさい事に巻き込まれたら、お前だけでやれよ?」
「な、何で俺だけなんだよ!!お前も一緒だって聞いたから行くって返事したのに……俺1人なんて嫌に決まってんだろ……」
拓哉の冷たい言葉に少しだけほんの少しだけ目にうっすらと涙が溜まるのが自分でも分かった。
「おい!」
「な、何?」
「お前な、直ぐ泣きそうな顔すんじゃねぇよ」
「ご、ごめん」
「俺も言い過ぎた。ごめん」
「うん………」
「はぁ~仕方ねぇ。行くって言っちまったし……何させられるか分かんねぇから、聞いてから判断する事になるけど、頑張るか?一緒に?」
その言葉を聞いた瞬間、さっきまで悲しくて仕方なかった気持ちが一瞬にして無くなって、笑顔で返事をした。
「うん!!」
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