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3本目、急遽。
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僕は課題を終わらせるために図書室に来た。
大学内に設備されているこの広い図書室は静かで居心地がいい。
広いだけあり本の種類や数がとても多くて一生かけても読み切れる気がしない。
高い位置に着いている窓から差し込む光は暖かく優しい。また、大きくバラが何本も描かれているステンドグラスにはつい目を奪われることがある。
僕は本を数冊手に取り席に着いた。
席数が多い分、利用者が少ない日は余計に広く感じる。
課題を進めるにはこの位静かだと僕にとっては好都合だ。
集中してさっさと終わらせようと思い本に手を伸ばした途端『ヴー…ヴー…』と僕のカバンから音が聞こえた。スマホが鳴っていることに気がつきカバンから取り出す。
マナーモードにしておいてよかったとホッとしながら画面を見ると、バイト先の電話番号が表示されていた。
僕は電話に出るために一旦課題をカバンに押し込み本を持ち席を立った。
本は同じ棚から取ってきたためすぐに元の位置に戻すことが出来た。
本を片付けている途中で着信が切れてしまったため折り返し電話をかけることにした。
図書室をでて少し歩き人通りのない廊下に移動した。
「もしもし紅野です。すみません、間に合わなくて切れてしまいました」
「紅野くん?ごめんごめん。突然なんだけど今日人手が足らないんだよね。 これから来て貰えないかな?お休みのところ申し訳ないんだけど」
「…わかりました、大丈夫です」
バイト先からの連絡だったため、そういう内容だろうと思っていたが予想的中した。
課題があるんだけどなと思ったものの断れない性格が故に大丈夫だと言うしか無かった。
「頼みます!よろしくね!」
そう言うと電話が切れた。店長にはお世話になっているしお店が人手不足で困っていると聞くと尚更断りにくくなってしまう。
この性格直さないといつか痛い目を見てしまう気がする…。
今日は本来はバイトはない日だったため、他に誰がいるのか気になり撮影しておいたバイト先に張り出されているシフト表を確認した。
フロアのメンバーは確かに足りていないように思える。今日まで誰も出勤できる人が見つからなかったのだろう。
その後キッチンのメンバーを確認する。
ある人の名前が目に入り心臓が早くなる。
今日なぜシフトを入れなかったのか、その理由がこの人にあったからだ。
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