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10本目、楽しそう。
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「こちらメニューです…って笹窪さんはわかりますよね」
「わかるけど接客してるところ見たいな」
「からかわないで下さい」
屈託のない笑顔に見えてしまうせいでから、かってるのか本気なのかがイマイチ分からない。
けれど僕的にはからかわれているように思えた。笹窪さんは一体何をしに来たのだろうか…。
今日は普通にお客さんとして来ただけ…?
「…今日はメガネをしてるんですね」
「あー…そうだね。大学の帰りだからね」
昨日とは違い今日はメガネをしていたから違和感があったんだと今更気がつく。
スクウェア系の黒縁メガネ、正直笹窪さんにはすごく似合っていて見ているとなんだか心がむず痒がった。
レンズ越しの目は昨日と同じで僕のことを真っ直ぐと見てきている。
「何見つめてるの。仕事しないと、ね?」
笹窪さんは笑いながら僕の背中を押す。
ちょうど呼びベルがなった為、そのまま他の席の注文を伺いに行くことにした。
少しじっと見すぎてしまったかもしれないと急に恥ずかしくなってきてしまい顔が熱い。
もちろん他の席で注文を伺ってる時も笹窪さんからの視線は僕に突き刺さっていた。
「紅野、あの人知り合いなの?」
「うん。ここのキッチンで働いてる人だよ」
「へー。でも今日は客として来てんだ」
沢木たちがいる席の横を通ろうとした際に呼び止められ次は沢木と話す。今日は本当に仕事にならない日だ…。
「あの人と話してん時の紅野楽しそうだったな」
「あーそれ俺も思ったわ!沢木はいつも冷たくされてんのにな」
「いやいやいや。俺と話してる時はツンデレになってるだけだから」
「なってないよ」
沢木にツンツンもデレデレもした記憶はないが、笹窪さんと話してる時に楽しそうな雰囲気になってた記憶もない。実際楽しかったという訳ではなかった。
一体沢木たちから見て僕と笹窪さんはどういう風に見えていたのだろう。
「バイト先の人と仲良いって羨ましいな。俺なんか喧嘩ばっかでさ。素がだせる相手がいるっていいよなー」
沢木が唇を尖らせながらそう言う。
素がだせる?僕が笹窪さんに?
昨日初めて会ったばかりだし、帰り道はなんなら気まずい空気になった。
さっきだって大したことは話していないし素なんて見せられるような相手じゃない。
「素なんてでてた?」
「え?うん」
「…そっか」
僕はふと笹窪さんの方を見た。
すると笹窪さんと目が合い微笑んできた。
僕たちが話しているところもバッチリと見ていたという訳か。
微笑まれたのが少し恥ずかしくて目を逸らしてしまい無視をしたような形になってしまった。
「ほら楽しそうじゃん紅野」
「う、うるさい!」
そこから更に沢木にからかわれてしまい余計に恥ずかしくなってきて僕はその場から逃げるように立ち去った。
早く二人とも帰ってくれないと気が気ではないしぎこちなくなってしまう。
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