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11本目、むず痒い。
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「紅野の働く姿見られて新鮮だったし楽しかったわ。また来る」
「もう来なくていいよ」
「冷たいなー」
ようやく沢木たちが帰ることにしたみたいで、会計の際に少し話していた。
数日ないうちにまた来そうだから困る。
僕はこれからバイトの度に沢木が来ないかソワソワしてしまうだろう。
それにしてもほぼ同時に来店した笹窪さんはまだ居るつもりなのだろうか。
少し気になり笹窪さんの方へ視線を移すと目が合い手を縦に振ってきた。
来てくれという事なのだろうか?
沢木たちを見送ってから僕は笹窪さんの元へと向かった。
「…なんですか?」
「さっきの彼らは?」
「僕の大学の友だちです」
「そうなんだ。楽しそうにしてたね」
まさか次は笹窪さんに言われるとは思っていなかった。まるで僕が常に楽しそうに生きてる人みたいじゃないか。
そんなにヘラヘラしていただろうか?思い返すまでもなくそんなことはなかったと断言出来る。
「楽しそうにですか…」
「そう見えたけど。じゃあそろそろ俺も帰るね」
僕は笹窪さんと共にレジへ向かい会計を済ませた。会計が済むと僕に手を振り帰っていった。
特になんの会話もなくすんなりと帰って行くので逆に落ち着かない…。
あまりにも構われすぎているとこういう時に引っかかってしまう。
なんでそんなに構ってくるのだろう。
だんだんと僕の世界に入ってこられている気がして怖かった。
沢木は友だちだからバイト先に遊びに来たということは理解出来る。
まさか何人も引き連れ来るとは思っていなかったけれど…。
そうすると笹窪さんはなぜ来たのか…全くわからなかった。
勉強をするでもゆっくり食事をするでもなくまるで僕のことを観察しに来たのかというくらい目が合ったし視線を感じた。
考えすぎなのかもしれないけれど…。
(余計なことは考えないで仕事しよう)
ようやく落ち着いて働けると思っていたがそんなことは無くむしろ色々気になることが出てきてしまい脳の休む暇はなかった。
テーブルの上を片付けながら笹窪さんの顔を思い浮かべるとまた心がむず痒くなる。
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