アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
57本目、四十度。
-
体や顔を洗い終えてから一番近くにあった温泉に入ることにした。
「はぁーっ、きもちいー…」
「ですね…はぁ…」
最初に足を入れた時に熱いと感じたお湯も全身浸かると気持ちがいい。
温度計を見ると四十度と表示されていた。
「熱いね。でも川で遊んだ後だからいい温度かも」
「本当ですね…遊んできてよかったかもしれないです。楽しかったですし」
「楽しかった?」
「…少し」
「今照れたね。本当に可愛い」
僕は“照れた”と言われると余計に照れる傾向にあるらしい。
急に意識し始めてしまうせいだろうか。
僕は今暖さんからの言葉に対して照れたのだということを。
「またからかうんですか…」
「からかってないよ。可愛いものは可愛い。ただそれだけ」
温泉のせいなのか暖さんは頬が赤くなっている。そのせいかいつもより増して優しく見える。濡れた髪の毛をかきあげているため顔がはっきり見えて少し新鮮な気持ち。
「はははっ、歩生顔赤い」
「だ、暖さんもですよ」
「そうかも。温かいからね」
気持ちよさそうに目を閉じながらそういう暖さんの真似をして僕も目を閉じた。
そうするとこのお湯の熱さがより体に伝わる気がした。
芯までじんわりと温まると次第に眠気がやってくる。
「なんだか眠くなりそうですね」
僕がそういうと暖さんは僕の肩を抱き寄せた。
「寝てみる?」
「のぼせちゃいます…」
ただでさえ長湯は得意ではないのに、こんなに密着してたら恥ずかしくて早くのぼせちゃいそうだ。
暖さんの肌に触れていると落ち着くようで落ち着かない。
隣は居心地がいいのだけれど未だに緊張してしまう瞬間がある。
恋愛経験が無いせいだろうけど、暖さんに色んな感情を持つことが幸せだと思える。
「誰かさんがのぼせる前に外の温泉も行こうか。そこのガラス戸を抜けたところにあるから」
「む…のぼせないですよ」
「歩生が、とは言ってないよ?」
「…またからかいましたね」
暖さんはくすくすと笑いながら立ち上がりお湯から出た。僕も後について行くように出ていきガラス戸を抜け外に出た。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
57 / 595