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ひと通り洗ってもらった後に、暖さんは自分で自分を洗おうとし始めたから腕を掴んでそれを阻止した。
「僕が洗います」
「…うん。ん?なにを?」
「暖さんのこと洗います」
暖さんは驚いたような顔で僕を見てきた。
洗ってもらったからそのお返しのつもりだけれど、そんなにおかしなことを言ってしまっただろうか?
「…洗いますね」
返事こそなかったけど無理やり後ろに座ってシャンプーを手に出して暖さんの頭に手を伸ばす。
暖さんは大人しく座って待っている。
洗うと言ったはいいものの洗い方がよくわからない。
暖さんにしてもらったことやいつも自分で洗っていることを思い出しながら真似てしてみる。
「……どうですか?」
「んー…気持ちいいー…」
目の前の鏡越しに暖さんと目が合った。
暖さんは軽く微笑んでいる。
髪の毛で顔が隠れてない分いくら鏡越しでも恥ずかしくてソワソワしてしまう。
「歩生は弟とかに洗ったりしてあげてたの?本当に上手だよ」
「…僕はひとりっ子だから人を洗うのは初めてです」
「ひとりっ子なんだ…弟か妹いるかと思ってた。しっかりしてるから」
「そんなことないです…」
しっかりしてると言われると安心する。
暖さんから見て僕はそう見えているんだ。
しっかりしなくちゃと思うことは多いし、まだ暖さんの前でいい姿を見せられたことがない気がするけれど。
「暖さんは確か弟さんが…」
「そうだね、弟いるよ。高二の弟。調子こいててなかなかうるさいよ」
「いいですね。会ってみたいなぁ」
「んー会わせたくない。弟まで歩生に惚れそう」
ひとりっ子だと兄弟が羨ましくなる。
両親は昔から忙しくて家にいないことも多く、一人でいることは慣れている。
「あはは。どうですかね、それはないと思いますけど」
「わかんないよ。俺と顔も好みもよく似てるから」
暖さんと似てると言われると尚更気になってしまう。今の暖さんより少し幼い顔をしているのだろうか?
想像してみると少し可愛くてつい笑みが溢れてしまう。
「何笑ってるの?」
「暖さんの弟さんの顔を想像してたんです」
「えー?いくら弟とはいえ嫉妬するなぁそれは」
暖さんは軽く笑いながらそう言った。
「でも僕が好きなのは暖さんだけですから」
「また照れさせようとしてるの?」
「そういうつもりでは…な、流しますよ」
暖さんが照れると僕も照れちゃうからそれを誤魔化すようにシャワーを手に取り暖さんの頭を流し出す。
ひとしきり流し終えた後にボディーソープを泡立てて背中を洗い始める。
さっきくすぐられた分をやり返すチャンスだ…!
背中全体を泡で包み込んだ後に脇に手を伸ばす。
「こちょこちょ…」
「…」
「あれ?」
「あはは、歩生それがしたかったの?」
暖さんは全くくすぐったそうにしている様子はなく、その後に笑い出した。
腰の辺りをくすぐっても避ける様子は全くない。
「俺は効かないよ」
「そ、そんな…」
僕はくすぐりがすごく効くのに、暖さんは全く効かないなんて。
暖さんのことをまたひとつ知れたけれど…なんだか悔しかった。
これからくすぐられたとしてもやり返すことが出来ない。
また僕はやられっぱなしだ…!
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