アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
83本目、夢の中で。
-
部屋に戻り寝る支度をして布団に入り一時間は経つ。
「ま、まだ寝ないんですか?」
僕はとてつもなく眠いけれど暖さんが真横で起きている。
僕とは真逆で全然眠くなさそうだ。
「眠いなら寝ればいいのに何をそう耐えてるの?」
「暖さんは寝ないのかなぁと……」
「あと少ししたら寝る」
その言葉は数分前にも聞いた。
暖さんはずっとスマホでゲームをしているようだ。
僕はあまりゲームには興味が無いからわからないけれど、寝る時間を削ってまでやるほどの楽しさがあるということなんだろう。
僕にとってのそれは何だろう。
「…ふぁ」
もうあくびをしすぎて疲れてきた。
僕は僕で速やかに寝ることにした。
暖さんはいつ寝るのかな。
「部屋の明かりつけときますね」
「いや、消していいよ」
「目が悪くなりますから」
「明るくても寝れるの?」
「もう眠過ぎて明るさが何であれ眠れそうです」
「…そっか。俺もすぐ寝るから」
暖さんはそう言い部屋の明かりを消した。
スマホの明かりだけが部屋の中にある状態だ。
部屋が暗くなるとより眠気が増してきて瞼を閉じたら直ぐに意識を手放せそうになる。
____
ほんのりと甘い香りがする。
そしてその香りは段々と強くなっていく。
なんだろう?
目の前には花畑が広がっている。
辺り一面全て花、主に白い花が多い。
「歩生」
どこかから僕を呼ぶ愛しい声が聞こえた。
「歩生……歩生?」
呼ばれている。
僕は振り向いたり歩いたりしてみたが、その声にたどり着きはしなかった。
なんとなくその声は空から聞こえるように思える。
見上げると雲ひとつない真っ青な空が広がる。
ここはどこなのだろうか。
わからないけれど不思議と心が落ち着く。
「歩生」
急に僕を呼ぶ声が大きくなった。
まるで声の主は隣にいて、耳元で呼ばれているようだ。
その時、口の中が熱く感じてきた。
(なんだろう、熱い。それに何かが口の中で動いている…)
その感覚がした途端、目の前の花畑や空が消えていく。
あぁ、これは夢だ。
「んっ…ぅ…あれ…だ、暖さん!?」
夢だと確信ついた途端に目が覚めた。
起きても尚鼻に感じる甘い香りは、置いてある朝食だったようだ。
そして口の中が熱く感じたのは…
「薬、上手に飲めました」
「…もう」
暖さんだったようだ。
寝ている人に向かって薬を口移しでだなんて、と思ったけれどなんとかすんなりと飲み込めた。
僕より遅く寝たのに僕より早く起きていたんだ。
本当に寝たのだろうか?
「…お、おはようございます」
「おはよう。ぐっすりだったね」
「はい。暖さんは眠れましたか?」
「眠れたよ」
確かに眠そうにはしていない。なんなら活き活きしている。
僕は暖さんのお陰でいつもよりスッキリ…というより驚きで目が覚めた。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
83 / 595