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86本目、一緒の予定。
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電車に揺られてる途中、横から小さく吐息が聞こえてくる。ちらりと見ると暖さんが寝ていた。
昨夜ゲームをしていたから寝不足なのかもしれない。
電車の少し強い揺れで暖さんは僕の肩にのしかかる。
旅館を出て駅まで歩いてくるときにも暖さんはどこか上の空だった。それは眠かったからなんだ。
(…気持ちよさそうに寝てる)
肩に寄りかかっている暖さんの顔をじっと見る。
寝顔は普段より幼く感じて可愛いなんて思ってしまった。
こういう無防備な姿を見れるのは僕だけであって欲しい。
「あ…次の駅で降りないと」
遠くない場所だったから寝たばかりの暖さんをもう起こさなくてはならない。
何だか気が引けてしまう。
「暖さん、もう着きます」
「んん…あれ、ごめん寝てた」
そっと肩を揺すると直ぐに目を覚まして少しぼんやりしながら顔を上げた。
まだ眠たそうで口元は軽く尖り不機嫌そうに見えた。
「あー…なんかまだ少し眠い…」
「帰宅したらおやすみなさいですね」
「このままじゃ本当にぐっすり寝るかもしれない」
電車が駅のホームに着き扉が開く。
荷物を持ち席を立って降りた。
降りて直ぐに暖さんは伸びつつ欠伸をする。
「んー…お日様がさらに俺を眠くさせる」
「今日もすごくいい天気ですもんね」
「本来ならお散歩日和ってやつだね。歩生俺の家おいで」
暖さんは空いている方の手で僕の手をギュッと握りしめ歩き始めた。
いつもより少しフラフラ頼りない足取りで歩く暖さんの後ろを着いていく。
こういう姿もあまり見ないから、新鮮で僕的にはなんだか嬉しい。
「…ふぁ」
改札を出た瞬間に暖さんは大きく欠伸をする。
それを見て僕もつられて欠伸が出てしまう。
「あはは、歩生も眠いの?」
「違います。うつったんですよ」
「そうなの?」
暖さんは眠そうなままの顔でにっこりと笑った。いつもと違うその笑顔についドキッとする。そんな表情もするなんてずるい人だと思う。
「もうすぐ着きますね。駅から近いと便利ですね」
ドキッとしてぎこちない顔になっていたら恥ずかしくて、それを誤魔化すようにそう言った。
「うん。確かに駅チカは便利だね。こういう日には特にありがたい」
「眠い日に駅から数十分も歩いて帰るのはしんどいですもんね」
「そうそう。やっぱ帰ったら少しだけ寝ようかな。歩生も一緒に」
「僕は眠くないですけど…一緒に横になってたら寝ちゃいそうです」
「うん。一緒に寝よ?」
暖さんにそんな風に言われたら一緒に寝たくなる。同じ時間を共に過ごすのが何よりも幸せだから、寝るという予定すらワクワクしてしまう。
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