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87本目、眠る時。
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「ただいま我が家ぁー……」
家に着くと暖さんは靴を素早く脱いでさっさと部屋の中に入り荷物を置いた。
僕も着いていくように靴を脱いでから部屋に入る。
「よっ…と。歩生おいで」
暖さんはベッドに腰をかけるとそう言って両腕を広げる。
甘えるように僕も両腕を広げて、暖さんを抱きしめた。
「つかまえたー」
「わぁっ」
そして向かい合って抱きしめ合いながらベッドに横になった。
「ぬくぬく…幸せ…」
「だ、暖さ……」
「んー?おやすみ歩生…ここで抱きしめられといてね」
暖さんはそう言うとそっと目を閉じる。
「…おやすみなさい」
眠れるかは分からないけれど僕も目を閉じた。
駅から歩いてきた上に暖かい格好で暖かいベッドの上。しかも今は抱きしめあっているから全身が包まれるようにポカポカだ。
不思議とその暖かみを感じながら目を閉じると物凄く眠くなってきた。
(…暖さんの息が小さく聞こえる。本当に眠かったんだ)
それを聞いていると心地よくてなんだか落ち着く。暖さんが僕に完全に気を許して無防備に寝ている。そしてそれは僕も同じだ。
「…んん」
「わっ…ごめんなさい」
少し腕を動かすと暖さんは軽く目を開けた。
まだ眠りがとても浅い状態だったのだろう。
咄嗟に謝ると軽く微笑んで頷き、また目を閉じてしまった。
(…やっぱりこのまま僕も寝よう。動けなさそうだし眠くなってきた)
僕ももう一度目を閉じた。
どんどんと体の力が抜けていくのを感じる。
次第に考えていたことも抜けていき、この心地よい暖かさと寝息を感じるだけになる。
眠りにつく瞬間ってどうしてこんなにも気持ちがいいのだろう。
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