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88本目、置き手紙。
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しばらくしてすぐに目が覚めた。
暖さんはぐっすりと眠りについていて起きる気配がない。
起こさないようにとそっと起き上がりベッドを降りて時間を確認する。
僕は三十分程で目が覚めてしまったようだ。
(…起こしたら悪いよね)
音を立てないように暖さんの机の上に置いてあったメモ用紙を1枚切り取りペンを借りる。
『二人きりで過ごせて楽しかったです。寝ているところを起こすのは悪いのでメモ書きですみません。』
そう書いたメモ用紙をそのまま机の上に置いたまま僕は荷物を持ち部屋を出た。
そうして玄関を出てエレベーターに乗りマンションを後にする。
いつまでも暖さんのそばにいたいけれど、同棲をしている訳では無いし長いこといたら迷惑になってしまう。
そう思っての行動だった。
帰り道はずっと楽しかったことばかりを思い出していた。二人でいた時間が長くなればなるほど一人になると物凄く寂しく感じてしまう。
周りでは人の話声や鳥の鳴き声、車の音や風の音がなっているはずなのにまるで何も聞こえていないかのように静かだ。
暖さんともっと一緒にいたい。
欲を言えばずっと一緒にいたい。
暖さんとなら“番”になってもいいかもしれない。
自分の項をそっと撫でると、その気持ちはより一層強まっていく。
(…でも、少し怖いかもしれない)
その場の勢いで番になっていいものではない。
そうして後悔をしている人を見たことがある。
長野さんたちみたいに本当にお互いを信頼しあえていて未来を約束できていないままでは…。
今はまだその途中なのだと思う。
(…暖さんも起きて僕がいなかったら寂しいと思うのかな)
そういう気持ちにさせたくはないけれど、そう思ってもらえるのだとしたら嬉しいなんて感じてしまう。
僕のことを思って喜怒哀楽色んな感情になる暖さんをもっと知りたいし見ていたい。
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