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その日の放課後。
俺は自転車を引きながら、トボトボと正門に向かっていた。
(バアちゃんの御守り、結局どうなったんだろう。
あの男、俺がカモになりそうにないからって、ムシャクシャしてあの辺に御守り捨ててたりしないかな……。
そしたら、今度こそ俺が拾えるのにな)
御守りの事をまだ諦めきれていなくて、未練たらしくそんな事を考えて歩を進めていたら、正門前がざわついている事に気づいた。
(何?この騒ぎ)
歩を止める事なく、人だかりへチラリと視線を投げながら正門を通り抜けようとしていた時だった。
「やっと来たか」
聞き覚えのある、よく通る男の声にギョッとした。
(なんで…なんであの男がここにいるんだよ?
まだ俺を揺する気なのか?)
そう考えたらすごく怖くて、そちら側を見てはいけないような気がした。
視線を前方に戻すと、立ち止まらないようにひたすら歩を進めた。
「待て、待てって。待てよ!」
男の声が何度も呼び止めようとしていても、聞こえない振りをして歩き続けた。
(あと少し、あと少しで正門から抜ける。
そしたら、自転車で坂を駆け下りよう)
はやる気持ちを抑えて早足で自転車を押して、ようやく門を出た所で急いで自転車に跨った。
(よし、もう大丈夫だ!)
こぎ出そうとした瞬間、左腕を掴まれた。
(嘘……だろ?)
「待てって言ってるだろ!」
「は、離してください!」
掴まれた左腕を振り払おうと、力一杯手を引く。
すると、男は更に強く握って自分の方へ引き寄せた。
「はぁ?何でそんなに嫌がってんだよ!俺、何にもしてねーだろーが!」
いきなり耳元でそう怒鳴られて、カーッと頭に血が上る。
「そんな事言ったって!どうせ俺から金を巻き上げる気なんだろ!?」
「そんな事する訳ねーだろ!」
「じゃあ、何なんだよ!腹いせに俺を殴りに来たのかよ!」
元来平和主義の俺は、普段ならケンカ腰にものを言ったり、刃向かうなんて事は絶対しないのに、この時だけはどうしようもなく腹が立って仕方がなかった。
人目もはばからず怒鳴り合っていると
「先生、あそこです!」
と女子生徒の声が聞こえて来た。
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