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この人とこのままここで立ち話をしていたら悪目立ちして注目を浴びるし、また先生でも連れて来られたら面倒だ。
人目も気になるし、とりあえず坂下にも設置されている高校専用駐輪場に移動して、既にガラガラの駐輪スペースに酷使した自転車を停めた。
「それで、話って何ですか?」
息も整ってきて冷静さを取り戻すと、目の前の男が見るからに自分より年上である事に気付く。
今まで頭に血が上っていたとはいえ、普通にタメ口で話していた事が信じられなかった。
気を取り直して丁寧な言葉で話し出した途端、男は不思議そうな表情をした。
「……どうかしましたか?」
「いや、なんで急に敬語なんて使ってんの?」
「それは、アナタが見ず知らずの年上の方だからです。先ほどは失礼しました」
本当は失礼だったとも思っていないが、とりあえず口先だけ謝っておく。
「あ~、いい心がけだけど、何かこそばゆいから敬語はやめてくれ」
「お気になさらず。早く用件をおっしゃってください」
やめてくれ、と嫌がられると必要以上に丁寧に話したくなる。
このくらいの仕返しは許されるだろう。
「これ、返すからさ……じいさんに会ってやってくれないか?」
「えっ?」
再び目の前に差し出された御守りと、予想だにしなかった言葉に目を丸くする他なかった。
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