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朝方にすれ違うだけの存在の俺を、そこまで大切に思ってくれていたなんて、すごく嬉しい。
あの時間を、おじいさんも大事に思っていてくれた。
それを知って、胸があったかくなる。
でも、そんな風に思ってくれていたおじいさんが、俺の御守りを他の人(しかもこんなチャラい孫)に託すなんて……。
もしかしたら、おじいさんの容体があまり良くないのではないか、そんな不安が頭をよぎる。
「あの……おじいさんは大丈夫なんですか?」
「あのジイさんがそんな簡単にくたばる訳ねーじゃん。歳のわりに回復早いって、医者もビックリしてたらしいし」
俺の不安を跳ね返すように、男はふてぶてしい態度で答える。
「そっか……良かった」
取り繕う様子が欠片も見えない男の悪態に安心して、思わず顔が緩んだ。
「おまえ……」
「え?」
男が急に、信じられないモノでも見たかのように目を見開いたので首を傾げると、何故か慌てて挙動不審な動きを始めた。
「いやっ、あー、その、アレだっ。サッサとじいさんの見舞いに行こうぜ!」
「……は?今からですか?もう五時過ぎてますよ?ってか、病院、近くなんですか?」
何なんだよ、この人。
色々唐突過ぎだし。
お見舞い行くなら、また日を改めてって話になるだろ、フツー。
それに、お礼がてら何か手土産持って行きたいし……。
今すぐは無理だ。
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