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「まずは、今回の事件の経緯について現段階で分かっている事だけ教えるね」
「はい」
「えっと、今回の事件の犯人は、加藤君が中学生の時の同級生で、名前が、近藤駿・真鍋健二。この二人なんだけど、覚えてるかな?」
「……………………??」
(近藤駿?真鍋健二?誰だろ?覚えてないよ……)
「あぁ~無理に思い出そうとしなくていいよ。これは私の意見になるけど、無理をすればする程疲れるし、苦しくなるだけだから」
「…………はい」
(でも、何だろう……何でこんなにモヤモヤするんだろう………)
「それから、どうして犯行したのかについて何だけど、二人が黙秘を続けてて、まだ調べられてない状態なんだ。分かり次第、この前みたいに報告書を作る事になると思うから、その時に詳しく説明します」
「はい。分かりました」
「えっと、伊藤君から話を聞いてるみたいだから、話さなくてもいいのかなとも思ったんだけど、その時の状況とかも話しておいた方がいいかな?」
「………………………………」
少し考えて、声には出さず、首を縦に振った。
「分かった。私の考えも少し入ってしまうから長くなってしまうけど、それでもいいかな?」
「はい。お願いします。僕が辛いかもしれないとか考えないで、包み隠さず話して下さい」
「分かった。まず、事件が発覚した経緯なんだけど、加藤君と別れた後、私も帰ろうと思って、車に乗り込んだんだ。けど、何となく嫌な予感がして、加藤君が歩いて行った方向に車を走らせた。そして、加藤君の姿を見付けて、加藤君の後ろを付ける人がいるのに気が付いた。それで………
・
・
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とまぁ、こんな感じで、伊藤君の説明と重なる部分もあったと思うけど、これがあの日の事件が発覚するまでの流れになるかな」
「……………………………………」
(僕が、気付かなかっただけで守られてたんだ……)
「加藤君?加藤君、大丈夫?」
「………大舘さん………」
「ん?何?」
僕は、大舘さんから顔が見えない様に話を聞く間、ずっと下を向いていた。
僕は泣き虫だから、大舘さんにまで泣き顔を見られるのは恥ずかしい。
けど、顔を上げてちゃんと伝えないといけない事がある。
決心をして顔を上げると、急に顔が上がった事に驚いたのか、ビックリした顔で僕を見つめる大舘さんの顔があった。
「急に、顔上げないで!驚いたよ!って、泣いてる?大丈夫?」
「大舘さん。大舘さん」
「ん?何?どうしたの?」
大舘さんは、何度も名前を呼ぶ僕を優しい目で見つめながら、返事をしてくれた。
「……………ありがとうございます。助けてくれて、僕を見つけてくれてありがとうございます」
「ん。どういたしまして。なんか、改めて言われると照れるな……」
「顔、赤いですね!」
「コラ!からかうんじゃない!!」
「アハハ!!ごめんなさい」
「仕方ないな。許してあげましょう!!」
僕の目から流れていた筈の涙はいつの間にか止まっていた。
それよりも、ちゃんとお礼が言えて良かった。
僕は、お礼を言う事でしか恩返しする事は出来ないけど、ちゃんと僕の気持ち伝わったかな……………
伝わってるといいなぁ………
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