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「桜沢さんは、俺が碧さんの手を離したら、あなたが壊れると言いました。でもね、俺も同じです。
あなたを失ってしまったら・・・俺は壊れます。」
「宏之・・・ごめん。」
「うう・・・く、うう。」
「あああ、ごめんなさい。また君を泣かせてしまった。」
「あなたを失ったらって想像しただけで、こんなに悲しいのに!
それなのに!
約束でき・・・ない!って!ひどいよ・・・ひどいよぉぉ!!」
「ごめん・・・ね。ああ、泣かないで。」
首にかじりつくように抱きつく。君を怒らせた・・・そして傷つけてしまった。
「やく・・そく、してください。
出来ないなら・・・ここで俺を捨ててください。」
合わさっていた二人の胸が離れる。宏之がわたしを引きはがしたから。
涙でぬれた頬を震わせ、冷たい瞳がわたしを睨みつける。
「今なんと?」
「約束できないなら、俺を捨ててください。」
噴きあがる怒り、渦巻く絶望。
なにを・・・言いだす。
「傍にいると言ったのは宏之だ!」
「約束・・できないってことは、俺のいない事に碧さんは耐えられるってことです。それは俺の気持ちと一緒じゃない、一緒じゃないなら意味はない。そう思いませんか。
俺がいらないなら、俺がいなくても平気な程度なら、今ここで捨てて・・・ください!」
「わたしの・・・ものだ!誰にもやらない!」
無理やり口を塞ぎ、下唇に歯をたてる。
捨てろだと?今更だ、何を言いだす!
呑み込めない唾液が顎をつたい、宏之の身体から力が抜けた。
そのままベッドに押し倒して両手首をシーツに押し付け力でねじ伏せる。
「いいか・・・宏之、よく聞きなさい。
二人が窮地に陥って、どちらかが助かる。どちらかが死ぬとしよう。
わたしがどうするか?答えは簡単、私は君を殺す、そして自分も死ぬ。
君がいない人生なら生きていないほうがずっと幸せだ。
君が助かり、自分がいない世界。君が他の誰かのものになるのをあの世から見守る?ばからしい。
わたしのものだ、誰にもやらない。だから殺すよ、迷いもなく。」
見開かれる瞳から零れる涙。
絶対的な愛情と淫靡な炎が生まれ出る鍵・・・君の涙はダメだ・・・おかしくなる。
「わかった?宏之。」
「・・・・約束して・・・。俺を安心させて・・・。俺を・・・すてないで・・・。」
宏之の瞳がみるみるうちに満たされて大粒の涙が頬をつたう。
自分で言った「捨てる」の言葉に怯えるように。
「言ったはずだ、君はわたしのものだ、誰にもやらない。
どこかに逃げるというなら閉じ込めよう。
逃げられないように足を潰そうか?
腕をもごうか?
捨てるわけがないだろう、それはできない。
約束するよ、君を殺していいのはわたし。わたしを殺していいのも君だけだ。他人には許さない。
誓いとともに・・・君を抱く!」
◇◇◇
「もう・・・・だ・・・・め。」
背中にまわされていた宏之の腕がポトリとシーツに落ちる。
抱きつぶすほどに宏之を貪りつくして、ようやくわたしの心は鎮まった。
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