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「指紋認証・・・。」
「斉宮と俺、あと何人登録されているのかは知らん。」
最後のドアをあけると、六帖ほどの応接間になっていた。壁に掛けられた電話で中と連絡がとれるようだ。「応接室へ」と短く言うと受話器を戻す。
裕はわたしの隣に座り煙草をとりだしたあと、またしまった。
「禁煙?」
「ああ。」
「4Fは地下住人の居住スペース。個室と、一時預かりの部屋。5Fは斉宮がつかっているようだ。
俺は3Fより上にいったことがないから、どうなっているのかしらん。しりたくもないが。」
「どうして逃げ出さないんだろう。」
「じゃあ、お前はどうして逃げなかった?」
ビデオがあったからだ。
ということは彼らにも逃げることを辞めてしまうような、「何か」で縛られている。
静かにドアがあいた。
「どうも、ほう、今回はこの人ですか?」
佐藤はニヤっと笑い、わたしを見た。
その目に映るのは女であり、わたしだと認識していないのは明らかだ。欲望に濡れた目が光り出す。
この男はまったく変わっていない、それに若々しい容貌は復活をみせており、以前見た人間とは大違いだった。むしろ10年前の佐藤に近い。
こんな環境で、この男は充実を実感しているというのか?
反吐が出る。
「桜沢さん、この人をどういう方向で教育いたしますか?いつものように任せていただければ
いい仕上げをしますよ。」
何か言おうとする裕の前に腕を伸ばして遮る。
「お久しぶりです、和行。」
「・・・・・。」
「わたしを忘れるとは薄情ですね、和行さん。」
くわっと見開かれた目に宿る確信
「碧仁・・・なのか。」
「はい。」
佐藤が立ち上がると同時にわたしの前に裕が立ちふさがった。
「沢木が今日逢いにきたのはアンタじゃない、座れ。
コイツに触れたらアンタのすべてを取り上げる、本気だからそのつもりで。」
しぶしぶといった感じでゆっくり腰をおろした。浮かべる表情は残忍で熱に浮かされている。
取り繕うものを無くした姿は、あの日わたしを犯した酷薄な男そのままだ。
「吉川に用がある。」
「あの男に何があるというのだ。」
「名前だよ。わたしの知りたい男の名前を吉川が知っている。それを聞きにきた。」
腕を組み、イライラと指で肘を叩く。不満がつのったときの癖だ。
もう少し押してやろう・・・。
「吉川が教えてくれたら、お礼に寝てもいいですよ。もちろん貴方じゃない、吉川と。」
「無理だな、あの男はサディストだ。碧仁は耐えられないよ。」
「だって、和行は無理でしょう?もうわたしを抱けない。」
紅潮する顔、やはり・・・か。あれだけ催淫剤、興奮剤を使い、SEXにまみれた生活を過ごせば当たり前だ。勃起不全の薬を飲めば使い物になるのにそれをしない、いやできない・・・ということは心臓か。
「残念ですね、バイアグラも使えないとは。
だから、ただひたすら、人間を快楽の塊に仕上げて悦に入っているというわけですか。」
「興味の方向性を変えただけだ!」
わざと組んだ足をゆっくり組み替える。それを追いかける視線は粘つき、肌にタレるローションのようだ。
気持ちの悪さで鳥肌が立つ。
「方向性ですか。あなたはアナルSEXでもイケますが、それじゃ満足できないですよね。
挿入されて振りたくられる他人の腰。
それに翻弄されて得る絶頂感は、プライドにヒビをいれるだけです。
あなたが欲しいのは征服と支配だから、女のように男の勃起に頼るのは嫌でしょう、違いますか?」
佐藤の身体から虚栄がはがれはじめた
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