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「強い心の持ち主だな。」
「ああ。」
「抵抗するより受け入れて怪我が最低限になることを選択したようだ。
あの状態で、それを実行できる人間は少ない。」
「ああ。」
「お前が焦った声で電話してくるなんぞ一生ないと思っていたさ。」
「アイツは・・何年かぶりに腹を抱えるくらいに俺を笑わせたんですよ。涙もでました。」
「ほおお。」
「聞いてもいいか?お前さんに何と言った?」
「桜沢さんは優しいから、お兄さん的な立ち位置ですってな・・・笑えるじゃねえか、くそ!
あれで寿司職人なんですよ。このあいだトロタク巻を土産にくれて・・・。うまかった。」
「そうか。」
「俺にはできなかった事、沢木を過去からひっぱりあげたのもアイツだ。大切な弟君なんだよ」
「そうか。」
「「そうか。」しか言わないな。」
五十川病院に関を運び込んだ。オヤジがやっかいになったことがきっかけになり、一般の患者がこなくなった病院だ。職員もおらず、五十川のおっさんが一人で守っている。
腕は悪くないし、飄々としたところが妙に和む。
「前よりお前は生きやすそうにしている。ただなあ、旧体制の権田で、上手く行くのか?
いっそのこと抜けちまえばいいんじゃないだろうか。」
「抜ける?権田を?」
「悪いが・・・息子ばボンクラだ、とはいえ、お前が継ぐとなると飛び越えることになる。
面子の世界ではありえんだろう?
もしそんな事が持ち上がったら、いくつ命があっても足りん。」
「じいさん・・・あんた。どこの差し金だ。」
「どこでもないさ、じじいはじいいだよ。」
身の振り方ね・・・。この年になって将来の模索とは・・・笑えない。
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