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刺し傷は太い血管も内臓も傷つけなかった。
肛門の裂傷も、時間が治してくれるらしい。
張られた頬はそのうち癒える。
「碧さん・・どこ・・」
「ここにいるよ。」
ゆるゆると瞳が開いて、わたしを認めるまで少し時間がかかる。
天井や壁がいつもと違うからだろう。
「なんで・・・そんなとこに座ってるの?」
「看病スタイルは、ベッドサイドで手を握るんじゃなかった?」
「抱きしめてください。お願い。」
望みのままに、もぐりこんで力いっぱい抱きしめた。
「いつぅ・・・」
慌てて力を緩める。
「よかった、碧さんの所に帰ってこられた。ちゃんと桜沢さんに連絡したんですね。」
触れるだけのキスをする。
「だって、約束だから。」
「約束でしたね。」
「少し眠るといい。ずっとここに居るから。」
「ああ!桜沢さんに言わないと。ここにはいませんか?」
「なに?」
「ええええ・・・・・と。碧さんの誕生日、2の段・・・いや違う・・・3倍!1年の3倍!
車のナンバー、28-36です。白のハイエース。3人乗っていて、店の前に止まった。
いきなり平手打ちされて、あ!俺の携帯。」
「大丈夫、ちゃんと回収済だから。」
「メール打っている途中だった・・・。」
「メールがこないから、わかったんだ。」
「しらない男でした。だから何が狙いなのか考えたんですけど、俺じゃないと思う。
だとしたら碧さんですよね?俺を攫ったってことは碧さんの弱みが欲しかったってことです。
でも素人の男と女のAVゴッコの横で縛られていただけだ。
意味がわかりません。稚拙すぎませんか?」
「それは裕が考えることだよ?まずは眠ろう、わたしも疲れたよ。」
「はい・・・。」
静かな寝息がきこえてくるまで、ずっと背中をさすり続けた。
起こさないようにベッドの外にでる。
おでこに手の甲をあてると、柔らかな体温を感じた。よかった・・・。
力が抜けていくあの瞬間・・・恐怖、あの感覚は二度とゴメンだ。
静かに病室をでると、腕組みしている裕が立っていた。
「眠ったか?」
「ああ。車のナンバーを覚えていたよ。」
「こっちもわかったことがある。あっちで座ろう、ネオもまだいる。」
さあ、どこのどいつだ。
後悔させてやる。絶対に。
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