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「相当びびってますよ、あの女。」
部屋にはいりイスに腰を下ろすと、三原は俺の顔を見ながらそう言った。まあ、びびって当然だろう。
素っ裸のまま何もないコンクリの部屋に転がされていれば怖がらないほうがおかしい。
「手短に。」
「わかりました。まず女は元銀行員で在籍中は上司と不倫していました。相手は当時の部長だったそうです。」
「ネオ、名前調べろ。そして14人との共通点をさぐれ。」
「りょ~かい。」
「離婚を迫ったが逆に退職を勧告され、その腹いせにヌードになったらしいです。
これのどこが腹いせなのか俺にはさっぱりわかりませんよ。
女が住んでいたのは、融資に便宜をはかったお礼にどこかの企業がプレゼントした物件。
手切れ金替りにそれを貰った。今後一切関わりを持たない、ベラベラしゃべらないを条件に。」
「ありそうな話だ。」
「キャリアアップを図ろうと売り込みを散々したそうですが、ひっかかったのはAVだけ。第二の蒼井そらを目指したらしいですが、出演作が増えるほど新鮮味がなくなるというAV界の常識を超えられず、落ち目になった時に高宮ラインで立誠会と繋がった。」
「立誠会主催でAV購入者を対象に売りで稼いでいたらしいな。」
「ネオもまだボンクラに成り下がってはいなかったらしい。ま、そういうことです。」
「そこでだ、AV購入者じゃない14人、全員銀行マン。このつながりは?」
「そこまでたどり着いていましたか。」
「ユタ兄。14人、とミホを愛人にしていたぶっちょ~さん。一本につながりましたよ。同窓だとか、上司と部下だ。高校時代の部活の先輩後輩、などなど。AさんとBさんが知り合いでCさんとBさんが、AさんはEさん、DさんはBさん。そんな感じで全員面識はないまでも、ちょいちょいつながってます。」
ほおお・・・。
「不倫相手の大学時代からの友人だという男がAVを見て、トゥルートラベルにコンタクトをとってきたのが始まりです。女がいうには、不倫相手と一緒にいる姿を見られたらしい。その時いい女だと思って印象に残った。それが偶然AVで本人を見ることになって、だめもとでトゥルートラベルに連絡した、とか何とか・・・。その男は外部客第一号になり、そこから輪が広がっていった。
人数までは言っていませんでしたが、それが14人ってことでしょう。」
「それと、立誠会はこの外部客に「便宜」をはかって恩を売っていたみたいですね。」
「恩?」
「女房にバレそうになったから、女と手を切りたいが承知しない、どうにかならないか。
息子が会社で上司に苛められている、どうにかならないか。
離婚するために、相手の弱みを握りたい、どうにかならないか。
外部客がピロートークで喋った困ったことを解決してあげようかしら。
女はそれを実行して立誠会に橋渡しをした。
SEXと救済だそうですよ。救いの女神を自認していました。アホです、アレは。」
救いの女神さんね・・・地下に蠢く亡者に光を当ててもらおうか?
救済できるとしたら・・・だがな。
「ネオ、女の通話記録で14人の中で直近にリストされるのは誰だ。」
「えええ~と、七つ葉銀行の融資課のヤツですね。」
「そいつの大学と同じ大学で、七つ葉に在籍、もしくは在籍していた、もう少し絞り込むなら、大学で同じ部活かサークルだった。この条件のヤツはいるか?」
「へいへい、ちょいとお待ちを。ところでみっちゃん。どうしてミホはそんな簡単に全部話すわけ?」
「優しくするだけだ。」
「・・・・ぜんぜんわかんねえ~。優しく?そんなヤクザ面で?」
せわしなくキーを叩き、画面を上下する視線。情報を選別しつつ、喋っているのはまったく別の事・・・。
頭がいいのか悪いのか、たまによくわからなくなる。
「水を持って行ってやったりとか、ちょっと声かけるとか、少しだけ優しくするんだよ。そうしたら、周りすべてが敵だという状況なわけだから、縋りたくなるのが人間だ。
助けてやれるかもしれないから、質問に答えてくれないか?そう言って毛布をかけてやって陥落。」
「うげえ~。みっちゃん、それ全然優しくないじゃん?
だって助けないくせにさ~そういうこと言ってさ~。不必要な希望与えちゃって!ヒトデナシ~~。」
「ネオ、俺は「たすけてやれるかもしれない」と言ったぞ、嘘は言っていない。まあ、毎回誰も助からないわけだけど。」
行徳が鼻を鳴らす。俺なら別の方法をとるとでも言いたげだ。
相手が女の場合、特に美穂のような女の考えでは、男は絶対自分に夢中になるという自意識を捨てられないはずだ。それならば、三原の方が最短距離で落すことができる。
参観日にだけ元気に手をあげる子供のように、ネオがビシ!と挙手した。
「あっちゃ~~。これはこれは。意外と大物さんが網に頭突っ込んできましたよ~。」
「誰だ。」
「水原信輝!水原の息子。こないだニュースで見ましたよ、出馬するボンボンです。」
たぶんコイツだ。
沢木に連絡するために部屋を出た。
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