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ボロイ小屋から出てきた「トシ」こと藤崎は、ポケットに手をつっこみながら気取って歩いている。
常に注目を浴びている人気俳優のつもりなのか?自分の器をまったく知らないバカが。
『ひろゆきぃぃぃ!!』
関を見て叫ぶ沢木が脳裏に甦る。ピンクのベッドの上に横たわった関の脇腹にささった刃物。
真っ白な肌。
くそっ!
「藤崎、お前に用がある。」
訝しげに俺を見たあとに見開かれる目。
「あ、あんた・・・。」
ああ、よく知っているだろう?沢木を尾けていたなら、一緒にいる俺を何度も見たはずだ。
そのまま踵を返して走り出す。
想定どおりの行動、売れないはずだな。応用力がまるでなっちゃいない。
すぐ先でサラリーマンの男にぶつかりヨロヨロとバランスを崩す。
スーツ姿の男に抱えられ「助けてくれ!」と喚いている。
「残念でした、藤崎さん。」
ニヤリとするサラリーマンは行徳。見た目を裏切るヤクザもの。
「トシ、随分かき回してくれましたね。きっちり迷惑料を払ってもらいます。」
「マ、マル!助けてくれよ。ヤクザに追われているんだ!」
10m先の集まりに近づいていく。
行徳にしっかり腕を掴まれ、逃げようともがいている藤崎。
距離を詰めると行徳が藤崎の身体を反転させて俺に向き合う体勢にした。
「さあ、楽しいドライブのはじまりだ。行徳、そいつを車に乗せろ。」
引きずられていく藤崎を見ながら、どうしてやろうかと考えていた。
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